金融・投資

2026.01.23

「決算発表」前後にやるべきこと:指標の見方から売買タイミングまで徹底解説!

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決算発表は、株価が大きく動く重要なイベントです。本記事では、投資家のはっしゃんさんが、決算発表の基本から、決算前後に確認すべき指標、売買判断の考え方までを体系的に解説。PTS市場の活用法や理論株価、企業価値を見極めるための視点も交えながら、決算を投資にどう活かすかを分かりやすく整理します。

今回お話を伺ったのは…
はっしゃん(投資家Vtuber)さん

はっしゃん(投資家Vtuber)さん

投資家Vtuber。ITエンジニア兼業投資家として割安成長株に長期投資するスタイルで1億円を達成。現在は独立・起業して「初心者にも持続可能な株式市場の実現」という理念のもと、専門的な金融知識なしで利用できる株式入門サイト「株Biz」を監修・開発。理論株価や月次情報など独自の投資コンテンツを配信する。投資家Vtuberとしてマネー誌、投資メディア、SNSでも活動し、ビジネス著書累計10万部、X(旧Twitter)フォロワー数9.9万人、YouTubeはっしゃん式投資勉強会チャンネル登録数2.3万人。
X(旧Twitter) https://x.com/trader_hashang/
株Biz投資勉強会Web https://kabubiz.com/
株Biz投資勉強会TV https://www.youtube.com/kabubiztv

決算発表とは?

投資家Vtuberのはっしゃんです。今回は「決算発表を投資チャンスに変える方法」というテーマでわたしの考え方や投資戦略などをお話させていただこうと思います。
決算発表は、3月決算の銘柄であれば、
 ・4月下旬~5月上旬の本決算
 ・7月下旬~8月上旬の第一四半期決算
 ・10月下旬~11月上旬の中間決算
 ・1月下旬~2月上旬の第三四半期決算
の4回が発表シーズンになります。決算月によって発表時期は多少異なりますが、どの銘柄にも年4回の決算発表があります。
決算発表の時期には、その結果によって株価が大きく動きます。決算がよかったから株価が大幅上昇した、逆に決算が悪くて暴落してしまったという経験がある方も多いのではないでしょうか。
決算は企業の通信簿にあたります。そして、その成績によって、企業に対する投資家の評価が変わり、集中的に買われたり、売られたりすることがあります。
みなさんも学生時代を思い出してください。中間テストや期末テストがありましたね。テストの成績がよければ、先生や両親に褒められ、いい進学先を目指せますが、テスト結果が悪かったら、反省して勉強方法を見直したり、家庭教師や塾を考えたりすることも必要でしょう。
企業の決算にも同じことが言えます。投資家の目的は、株価が上がる好業績の企業に投資することです。これは、学生がテストで好成績を取ってよい進学先を選ぶのと同様です。
なぜ投資家から好業績の企業が好まれるのかというと、好業績の企業は、それだけ売上を増やし、多くの従業員を雇い入れ、商品やサービスを提供して利益を上げて、たくさんの税金を納めているからです。社会に貢献している価値ある企業だと認められているわけです。そして、よい企業ほど、その価値が認められて、株価は高くなります。
決算を無視して投資をするということは、テストを無視して学校に行くようなものです。もちろん、スポーツや芸術で特別な才能がある人は、テストを無視できるかもしれませんが、そのような人は、ごく一部です。
株式投資も同様で、決算を無視しても勝っている投資家も一部には存在しますが、特別な才能でもない限り、普通の人には真似できません。スポーツや芸術の天才と同じで、一般人には再現できないものなのです。
だから、大多数の投資家は決算を見て、投資先の成績を確認して投資判断をします。そして、これを年に4回実施するようにしています。
でも、決算というと難しい、ハードルが高いと感じるかもしれません。わたしは、初心者の人でも投資しやすいように「理論株価」という決算を評価する指標を作り、理論株価を通して決算を見るようにしています。
今回は、「理論株価」を使って初心者にもできる決算チェック法を紹介しましょう。

決算前にやるべきこと

決算前にすることは、たった1つだけです。それは、持ち株や買いたい株の決算発表日を確認することです。
決算発表日を知らない投資家は、テストの日を知らない学生のようなものです。多くの投資家は、決算発表日を知っています。だから、決算発表日を知らないということは、多くの投資家と同じ土俵に立てていないと言っても過言ではありません。
決算発表日は、東京証券取引所、日本経済新聞社、会社四季報などのサイトで公開されていますし、投資先のIR情報サイトからも情報を入手することができるでしょう。
そして、決算発表までに持ち株や買いたい銘柄があれば、これまでの決算を見ておきます。特に、直前の決算書には、今期の売上や利益の目標が掲載されていますので、これを基準に決算結果がよいのか悪いのかを評価するわけです。
そのほか、会社四季報には過去数年分の決算の推移がまとめて掲載されているので便利です。過去を遡って見る理由は、多くの投資家の期待が持続的に成長し続ける企業であり、その検証として、これまで実績を上げ続けている企業であるかが重要になってくるからです。
このようにして、過去から直前までの決算を確認して、今回の決算と今後の成長期待を定めておく。多くの投資家が実践しているルーティンワークです。
とはいえ、決算を読むことが苦手な人も多いと思います。そこで役に立つのが「理論株価」です。はっしゃん監修サイト「株Biz」の「理論株価Web(https://kabubiz.com/riron/)」にアクセスをして、その会社の理論株価をチェックすることでも決算チェックは可能です。理論株価Webは、最新の決算書から上場企業の理論株価を計算して公開しているサイトです。(※平日の9:00~15:30はアクセス制限になる場合があります)
例えば、NTTの理論株価は、次のようになっています。チェックポイントは2つ。
 ・理論株価:直前の決算書から計算した理論株価です。
 ・潜在α値:理論株価に対する株価の修正余地です。(プラスであれば値上がり余地あり)
理論株価Webで「α値」をチェックすると、割高な場合もあれば、割安な場合もあります。ただし、割高だからと言って、ただちに売る必要はありません。逆に、割安だからと言って買い増しする必要もありません。それが、決算前の市場評価であると理解しておけばよいでしょう。
割高な場合(α値-):株価が理論株価より高い人気株です。
         市場は好決算を期待しています。割高であるほど人気です。
割安な場合(α値+):株価が理論株価より安い不人気株です。
          市場から期待されていません。割安であるほど不人気です。
理論株価と株価の関係は、上のようなものです。この決算前の理論株価と株価の関係は、競馬で言えば、出走前オッズのようなものです。オッズは、本命馬なら低オッズ、大穴なら高オッズになりますね。
これと同様に「α値」は割安度と同時に人気度も表し、競馬と同様に人気株のα値は低く(マイナス)なり、不人気株のα値はプラスが高くなります。
でも、実際の結果は、決算が発表されるまでは分かりません。本命馬が失速して、大穴馬が勝つことだってあるわけです。もっとも、大穴が勝つ確率は、あまり高くはないでしょう。

決算後にやるべきこと

決算書が読める人は、決算直後に決算書を見て、今期の業績が計画通りに進捗しているかどうかを確認します。そして、その内容を踏まえて中長期の成長見通しを修正し、結果に応じた投資判断を行います。
決算結果の例
 ・上方修正の場合:業績が好調につき売上や利益、配当を上積みした場合です
 ・下方修正の場合:業績が不調につき売上や利益、配当を減額した場合です
 ・どちらでもない場合:売上や利益、配当は計画ラインですが、そのなかでも強含みや弱含みのケースもあります。
これが、理論株価では次のようになります。
 ・上方修正、もしくは経過が好調の場合:理論株価が上昇します
 ・下方修正、もしくは経過が不調の場合:理論株価が下落します
 ・どちらでもない場合:理論株価はそのまま(先行指標が進捗率によって変化します)
また、決算発表後の株価は複雑な動きになりがちです。その理由は、人気度や先行期待で差が出る傾向があるからです。例えば、
 ・事前人気が非常に高かった場合:上方修正でも売られたりします。
 ・事前人気が非常に低かった場合:下方修正でも買われたりします。
 ・どちらでもない場合:通常は好決算では買われ、悪い決算で売られます。
そして、投資家にも短期系と中長期系の投資家がいます。例えば、
 ・短期投資家に高評価、中長期投資家には低評価
というような決算結果もありえます。仮に、このような決算になった場合は、決算の翌日は短期投資家の買いで大きく上昇しますが、やがて中長期投資家の売りで下げる展開になることが予想されます。
ただ、大部分の個人投資家にとって、このような決算直後の複雑な値動きに翻弄されるのは時間の無駄でしょう。わたしは、中長期的な観点から決算結果をシンプルに考えるようにしています。

PTS市場で市場評価を捉える

もう1つ決算発表後に注目すべきなのが、直ちに動くPTS市場です。PTS市場は、主に個人投資家が売買する市場ですが、好決算なら大きく上昇し、悪い決算だと売られるため、PTSの動きを見ることで、決算がよかったのか悪かったのかを把握するのに便利です。
例えば、PTSの値上がり値下がりランキングを参照して、大きく動いた銘柄が決算を発表していたら、どういう決算内容なのかを確認すると、勉強になると思います。
ただし、PTS市場に参加している多くが短期系の個人投資家である点には注意してください。PTSでの評価と翌日の市場取引とでは、評価が全く異なる場合もあります。

理論株価と企業価値コア4条件

わたしは、決算結果から理論株価を算出し、さらに理論株価を時系列で最大10年分見ることで、企業価値のコアとなる4条件を算出しています。
それは、相関度、割安α値、持続成長、配当成長の4つの指標です。これを企業価値コア4条件と呼んでいますが、理論株価10年分(10年分40ファイルの決算書データ)の時系列分析から計算したもので、株Bizの割安成長配当株Watch(https://kabubiz.com/growth/)で公開しています。(※平日の9:00~15:30はアクセス制限になる場合があります)
 ・相関度:株価と理論株価の連動性を表します
 ・割安α値:理論株価に対する株価の割安度を表します
 ・持続成長:理論株価が持続的に成長しているかを表します
 ・配当成長:配当を持続的に増配しているかを表します
この企業価値コア4条件を2条件以上満たした銘柄は、売上や利益、配当を過去10年に渡って増やし続けてきた銘柄であったり、割安に評価される傾向の銘柄であったりしますので、長期視点での積極的な監視候補と位置づけています。
コア2条件以上に該当する銘柄は、2025年12月時点では、3865銘柄のうち1200銘柄程度ありますが、これらの銘柄は、長期視点で見ると、10年間で90%以上が業績、株価ともに上昇しています。
従って、10年間の実績と直近の決算を組み合わせた2項目で投資判断をするようにしています。
 1)コア4条件: 〇2つ以上 ✕1つ以下
 2)最新の理論株価: 〇上昇   ✕下落
それは、理論株価が下落し、かつコア4条件が1つ以下になれば、投資判断を見直す(売却する)。それ以外は、中長期的な成長持続と判断してホールドするというものです。
わたしの場合は、それに加えて、自分自身の判断ミスをフォローするために、もう1つの重要なルールを設けています。それが、決算発表後に含み損に転落した場合は、たとえ上記2つの条件を満たしていても売却するという損切りルールです。
 3)購入価格との比較: 〇含み益 ✕含み損
わたしは、これを「1円損切りルール」と呼んでいますが、市場は決算結果だけで動くわけではありません。例えば、次のレーザーテックのチャートを見ると、2024年には好決算で理論株価が上昇しているにも関わらず、株価が暴落したことが分かります。その理由は複雑なので、ここでは割愛しますが、損切りルールがなければ大きな損失となったことでしょう。
 このように、株価は決算結果がすべてではないという点には注意してください。そして、だからこそ、損切りルールは必要だということです。

売買タイミングの考え方

「買い」で注意すべきポイントは2つ

わたしは、長期投資を前提としているため、基本的に「買い」はいつでもかまわないというスタンスです。
いい銘柄が見つかった時、その銘柄が
 ・理論株価よりも割安
 ・企業価値コア4条件の2つ以上が〇
であれば、基本的にはいつ買ってもOKですが、重要なのは過去よりも未来です。これから理論株価と株価が上昇しそうかを理論株価チャートや決算説明資料なども踏まえて判断します。
ただし、2つのイベントには注意するようにしてください。それが、
 ・決算発表前後
 ・株価暴落した時
です。
決算発表前後は、ここまで述べてきた通りです。最新の決算内容を理論株価で評価して投資判断するようにします。そして、最も効率のよい買い方は、決算発表の前後に買うことだと考えています。なかでも「決算発表で期待されていない銘柄が好決算を発表したとき」がベターでしょう。
多くの投資家が決算に注目しているのも同じ理由だと思います。これからの日本や世界をよくする、世界に貢献していく新しい成長企業を見つけて投資しようとしているのです。
もう1つの株価暴落は、基本的にバーゲンセールで買うチャンスですが、10回に1回程度の割合で、とんでもない大暴落(平成金融恐慌やリーマンショックのレベル)につながるケースがありますので注意してください。それは、株価が暴落するだけではなく、上場企業の倒産が続出するような信用収縮を伴う暴落です。
暴落については、今回のコラムのテーマからは外れますが、拙著「暴落大全」に詳しく書きましたので、興味がある方は、そちらを見てください。

「売り」タイミングの考え方

次に「売り」についてですが、わたしは長期投資を前提とするので基本的には売りません。そして、原則として株価10倍以上を目標とします。ただし、永遠に成長しない企業を保有していても仕方がありませんので、まず、3年で2倍、届かなくても成長余地があるなら 5年で2倍を目安とします。株価2倍に届かない場合は、見込み違いと判断して売却します。
5年で2倍になる企業は、平均すると年15%程度の成長になりますが、難しいのは理論株価が2倍程度に成長しているにも関わらず、株価としては評価されず不人気のままにある企業です。わたし自身も諦めて売却した後で株価が10倍になった銘柄がいくつかあります。こういう判断は、大きな分岐点になるので、後悔しないように、せめて自分で決断すべきでしょう。
そして、前に述べたように、含み損になった場合は、自分の判断ミスとして損切りします。こちらは単純です。含み損になるのは、買い(エントリー)の技術が未熟だからです。損切りした株が、大きく上昇することも、よくあります。
それでも損切りを実行するのは、含み損を持つことが新たな投資に対する機会損失となり、投資家としての成長に著しい妨げになると考えているからです。

まとめ

今回は決算発表前後にやるべきことに焦点をあて、決算と理論株価を中心にチェックポイントをまとめました。最後にわたしの投資スタンスや戦略、経験から培った「決算をチャンスに変えるための心得」を再掲します。
決算をチャンスに変えるための5つの心得
 1.決算発表は企業の通信簿。毎回必ず確認する
 2.最もよいのは、決算発表前後に売買すること
 3.理論株価と企業価値コア4条件で長期視点の判断をする
 4.含み損になったら損切りをする
 5.株価10倍を目標に成長企業に10年単位で投資する
ご参考になれば、幸いです。
※本記事に掲載されている全ての情報は、2026年1月9日時点の情報に基づきます。
※あくまでもはっしゃんさん個人の投資手法を説明するための例示および見解であり、ジャパンネクスト証券株式会社が取引の勧誘をするものではありません。

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