株式

2023.05.31

Introduction

本シリーズ「投資スイッチ!」では、何気なく過ごしている毎日の中にも、
実は投資先や株取引について考えるヒントがあるはず!という視点のコラムをお届けします。
ヒントに気づくための“スイッチ”を一緒に入れてみませんか?

憧れのヌン活は株主優待を使ってお得に!

 ”ヌン活”という言葉をご存じでしょうか? ”アフタヌーンティー”と言えば、ピンと来るかもしれません。イギリス発祥の喫茶習慣で、午後の4-5時頃に紅茶と共にケーキやスコーンなどを食する会をアフタヌーンティーと言います。それに今っぽく”活動”をくっつけて、近頃では”ヌン活”と呼ぶそうです。この”ヌン活”が、インスタ映えするという理由で、若い女性の間で流行っていると大学生の娘から聞き、それならわたしも体験してみたい!ということで、先日、”ヌン活”デビューしました!
 初・ヌン活は、インターコンチネンタル東京ベイ内のハドソンラウンジ。ご覧の通り、たしかにインスタ映えするビジュアルで、目の前に登場したときは、思わず「うわーっ!」と歓声を上げてしまいました。もちろんお味も申し分なし。小さいサンドイッチや、ケーキを、おしゃべりしながらチョコチョコ食べる至福の時間。日々のストレスも吹き飛びます。
 わたしがいただいたのは、飲み物付きのアフタヌーンティーで、ひとり5,566円(税込サービス料別)。値上げラッシュのご時世で、気軽に利用できるお値段ではありません。通常利用なら、わたしも躊躇するでしょう。ここで取り出したのが、株主優待券! じつはわたし、当ホテルを運営するツカダ・グローバルホールディング(2418)の株主なのです!
 株主優待というのは、その企業が、株主になんらかの物やサービスを提供することです。これは日本独特の制度ですが、優待目的で株デビューする人も多く、優待品を上手に利用して優待生活を送る投資家もいます。わたしは、株主優待ありきというよりは、やはり王道の値上がり目的で銘柄を選びますが、じつはこの株だけは、最初から優待目的で購入しました。
 ツカダ・グローバルホールディングスは、欧米風の邸宅で挙式・披露宴を行う婚礼サービスが主力で、ホテルやレストランの運営も行っています。100株以上保有すれば、グループ施設内レストランなどの飲食代金が30%引きになる優待券を2枚もらえます。
 わたしが買ったときの株価は、340円なので、投資額は34,000円。友人3人分の合計金額を30%引きで利用できたので、割引額はざっくり5,000円。優待券はまだ1枚残っていますので、かなりコスパのよい投資ですよね。
 もともと値上がりは期待してなかったのですが、現在(2022.11.25)株価は407円なので、購入時から20%近く上昇し、6,600円の値上がり益が出ています。この利益で、アフタヌーンティー代がまかなえますね。なんだか申し訳ないくらいです。

株主優待をもらうには?

 株主優待をもらうには、ある決まった日に株主である必要があります。逆にいうと、ずっと保有していなくてもその日だけ持っていればよいのです。ツカダ・グローバルホールディングスの場合は、6月と12月の2回チャンスがあります。この月を権利確定月といいますが、その月の権利確定日(たいてい月末)に株主名簿に自分が保有者であることが掲載されていればよく、そのためには、2営業日前に株を持っていれば優待券をもらうことができます。次の権利確定日が12月30日なので、その2営業日前の28日に株を保有していればオッケー。仮に翌営業日の29日に株を売ってしまっても、優待はしっかりもらえます。とにかく権利確定日である12月28日にさえ株を持っていればいいのです。
 わたしは6月の権利確定日に株主だったので、そのときの優待券を使いましたが、株は握ったままなので、このまま12月28日を迎えれば、また2枚優待券がもらえます。34,000円の投資で、ずっと保有していれば、優待の割引額で投資額を超えてしまいそうです。なんて素敵なの!

株主優待の注意点

 自分が欲しいものを株主優待でもらえば、とてもお得な気がします。でも、ほんとにそれお得??と思うような優待投資をしてしまう可能性も。たとえば優待銘柄として人気のオリエンタルランド(4661)は、現在(2022年11月25日)の株価20,000円。株は100株単位で買いますので、最低でも200万円必要です。100株保有でもらえる優待は、ディズニーリゾートの1デーパスポート1枚。現在、平日の1デーパスポートのチケット代は8,600円~8,900円(日によってちがいます)。ざっくり9,000円のチケットを1枚もらうのに、200万円で株を買うのがお得かどうか?もちろん考え方は人それぞれですので、正解はありませんが、合理性だけで判断すれば首をかしげざるを得ません。
 優待目的で銘柄を選ぶときは、投資額に対してその優待が本当に魅力的かどうかを一考しましょう。

狙い目の優待銘柄

 まったくの独断になりますが、優待でおすすめしたいのは、低位株(株価が500円以下)で、高級路線のサービスを展開している企業です。つまり、今回ヌン活させていただいたツカダ・グローバルホールディングスタイプ。ひとつわたしが狙っているのは、高級レストラン&ホテルを運営するひらまつ(2764)です。株価は現在(2022年11月25日時点)190円なので、19,000円で100株買うことができます。優待は、100株~400株保有で、自社経営レストラン・ホテルの10%割引利用、500株以上で20%割引となります。それ以外に、株主フェアが年数回開催され、有償ではありますが、破格のお値段でおいしいお料理とお酒がいただけます。権利確定月は3月、9月の年2回。今後、インバウンドが再開し、海外から富裕層の方々が来日すれば、運営する高級ホテルも業績が改善し、株価上昇の期待も持てそうです。優待権利月までは、まだ少し時間がありますが、今のうちから仕込んでおくのも悪くないかも、と企んでいます。

優待品を調べる方法

 優待のあるなしや、優待の中身は、その企業のホームページを見れば必ず記載されています。ただ、それだと、いちいちサイト訪問しなくてはいけないのでめんどくさいですよね。今なら、優待情報をまとめて提供するサイトもありますので、そういったものを利用するのもよし。
 優待を出しているすべての会社を一気に見たい!というリクエストに応えてくれるのは、わたしの愛する会社四季報です。巻末に優待の条件と内容まで細かく掲載されています。ざっと目を通すだけでも、なかなか興味深い優待を発見することができます。たとえば投資信託の情報サイトでおなじみのモーニングスター(4765)は、100株以上の保有で、2,500円相当の仮想通貨「XRP」がもらえます。おもしろいですね。
 株式投資の楽しみは、株価の上昇だけではありません。優待を上手に利用して、生活に彩りを添える楽しみもあります。普通ならチャレンジしないようなことも、優待のおかげで体験できれば、人生がより充実したものになります。
 ぜひ自分なりの優待生活を楽しんでください。
※あくまでも藤川さん個人の投資手法を説明するための例示および見解であり、ジャパンネクスト証券株式会社が個別企業を紹介し、特定の個別銘柄を推奨しまたは取引を誘引するものではありません。
本記事に掲載されている全ての情報は、2022年11月30日時点の情報に基づきます。

今回お話を伺ったのは...

藤川 里絵(ふじかわ りえ)さん:
キリオフィス代表、株式投資スクール講師、CFPファイナンシャルプランナー。個人投資家として2010年より株式投資をはじめ、5年で資産を10倍に増やす。数字オンチの人も含め普通の人が趣味として楽しめる株式投資を広めるため、講師、講演者、パーソナルトレーナーとして活動中。講座は特に女性に人気で、毎回キャンセル待ちが出るほど。著者に「月収15万円からの株入門 数字オンチのわたしが5年で資産を10倍にした方法」「ド文系女子の株の達人が教える 世界一楽しい!会社四季報の読み方」など。
YouTube:藤川里絵の女子株CH『はじめの一歩』 - YouTube

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