夜間取引

2026.01.29

2025年夜間取引の売買代金「四半期別第1位と各日のトップ3銘柄」について

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ジャパンネクスト証券は2025年夜間取引の売買代金「四半期別第1位と各日のトップ3銘柄」を発表しました。今回発表した内容について、公益社団法人日本証券アナリスト協会認定アナリストで、SBI証券 投資情報部長の鈴木英之氏に解説していただきました。

ジャパンネクスト証券のPTSは平日17時から翌日6時までの時間帯に夜間取引市場を開設しております。2025年の1年間の振り返りとして、夜間取引市場で四半期(第1四半期:1月~3月、第2四半期:4月~6月、第3四半期:7月~9月、第4四半期:10月~12月)ごとに売買代金が最も多かった日と、その日に出来高が多かった銘柄トップ3をランキング形式で紹介します。

第1四半期(1月~ 3月) 第1位 1月27日(月)夜間の売買代金:151億円

<内訳>

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2位】
3位】

<考察>

2025年1月27日の夜間取引の動きを一言でまとめれば「米国市場におけるディープシーク・ショックをリアルタイムで織り込んだ」ことになります。

米国東部時間の 1月26日早朝~1月27日早朝 (日本時間1月26日夕方~1月27日夕方)にかけて、Deep Seekの「低コストで高性能の中国製AIモデル」に関する期待・警戒がSNSやメディアで拡散され始めました。この動きが、市場参加者に織り込まれ、日本時間で1月27日夕~夜 に夜間取引で織り込まれ始めました。

1月27日17:00〜18:00(日本時間)に、米国市場は「Deep Seekショック」でテック株が急落し始めました。これにより、東京の夜間取引に直結する日経先物にも売り圧が入り、日経レバ(1570)が下落。この時点で日経ダブルインバース(1357)や日経平均ベア2倍(1360)は、“ショック相場対策”として買いが集中し、価格が上昇し始めます。18:00 (日本時間)以降、米国のプレマーケットではVIXの急騰などを受けて更なるリスク警戒が生じ、日経先物やETFにおいて売りが加速。 日経レバ(1570)は値を崩し、日経ダブルインバース(1357)は底値から逆に買われて直近安値圏から値を伸ばす展開に。

この時間帯の夜間取引市場が存在することにより、日本市場はリアルタイムでショックを織り込むことが可能となっています。

深夜帯にも先物・ETFを通じてグローバルな市場変動をリアルタイムに取り込める夜間取引は、日本市場における「危機対応の即応性」を高めています。米国のように24時間取引ではない日本でも、夜間取引を活用することで情報のタイムラグを最小化し、リスクヘッジや急騰急落への対応が可能です。

第2四半期(4月~ 6月) 第1位 5月22日(木)夜間の売買代金:502億円

<内訳>

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2位】 
3位】

<考察>

2025年5月22日の夜間取引の動きを総じて言えば、ビットコインに代表される暗号資産価格が最高値を更新する中で、関連株が乱高下した取引と言えます。

前提条件としてはまず、メタプラネット(3350)とリミックスポイント(3825)は株式市場で暗号資産関連株とみられていることです。そしてもうひとつは、暗号資産であるビットコインが5月22日に11万ドルを超えて4カ月ぶりに最高値を更新したということです。

こうした中、代表的な暗号資産関連銘柄であるメタプラネットは5月22日まで3日連続ストップ高となりました。買いが多く5月22日は買い気配が切りあがったため、買い注文を残す形になりました。この日の夜間取引ではチャートにもあるように、メタプラネットは22日の終値から大きく乖離した価格帯での取引となりました。ここで注意すべき点は4点です。

①夜間取引を活用し、日中相場から大きく乖離した価格帯で売却できた投資家の存在
②逆に夜間取引で、日中相場から大きく乖離した価格帯で買い付けた投資家の存在
③PTSでの夜間取引は日中取引に比べ商いが薄く、価格が飛びやすいという事実

④5月22日の夜間取引の乱高下が、5月23日の同社株急落の大きな要因になった可能性

夜間取引は日中取引にない投資機会を提供するものの、ボラティリティの大きさには十分注意すべきという示唆を与えた日でした。

第3四半期(7月~ 9月) 第1位 8月22日(金)夜間の売買代金:210億円

<内訳>

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3位】

<考察>

2025年8月22日も5月同様、暗号資産関連が主役でした。ただ、この時期、ビットコイン価格が強かった訳ではありません。暗号資産関連としての存在感はメタプラネット(3350)が圧倒的ですが、この日はやはり暗号資産関連であるCAICA(2315)と売買代金に大差はありませんでした。夜間取引ではこの日、CAICAが先行して動き、メタプラネットはその動きに続いた形です。

CAICAは従来の本業であったシステム開発で培ったノウハウを生かしブロックチェーン、暗号資産、Web3に展開してきた会社です。この時期は同社に対する評価が高まり、8月22日にストップ高、8月25日にも買い気配のままストップ高になりました。8月22日の夜間取引でCAICAは130~160円で取引されていましたが、8月25日の日中取引から参加した投資家は160円でしか買えなかった計算です。つまり、PTSの夜間取引が投資チャンスを広げたと言えます。この日のメタプラネットの夜間取引は当初830~840円近辺で推移していましたが、23時頃から880円に向けて急動意を示しています。ちなみに、メタプラネットの8月25日終値は904円であり、夜間から参加した投資家は利益を確保することができました。

夜間取引が日中取引ではできなかった投資機会を与えた典型的な例となりました。

第4四半期(10月~ 12月) 第1位 11月14日(金)夜間の売買代金:316億円

<内訳>

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2位】
3位】

<考察>

2025年11月14日に売買代金が集中したのはキオクシア(285A)です。同社は東芝からスピンアウトしたNAND型フラッシュメモリの会社で半導体関連の一角を占めます。同社は11月13日取引終了後に中間決算を発表しましたが、市場予想には及びませんでした。それを受けて11月14日は3,000円安の10,025円まで下がるストップ安となりました。

夜間取引ではおおよそ9,000円から9,800円の推移でした。ストップ安直後としては意外と底堅く強弱感が対立した展開でした。データセンターの増設でNAND型フラッシュメモリ市場への期待感もあり、押し目買いが入ったとみられます。11月17日の日中取引では9,895円~11,165円(前日比1,140円高)の展開でした。夜間取引での押し目買いは奏功した可能性が大きいようです。

決算悪を嫌気してのストップ安であれば、続落しても不思議ではなかったかもしれません。しかし、夜間取引の間に冷静な押し目買いが入っていたことで、翌営業日の反発につながった可能性があります。仮に取引に参加しなくとも、夜間取引をウォッチしておくことで、翌日以降の値動きを予見することも不可能ではないようです。
鈴木 英之氏 プロフィール

鈴木 英之氏 プロフィール

公益社団法人日本証券アナリスト協会認定アナリスト
SBI証券 投資情報部長 鈴木 英之
早稲田大学卒。旧日栄証券(現SBI証券)入社、リテール営業、調査部、株式部等を経て、SBI証券投資情報部長に。モーニングスター株式会社(現・ウエルスアドバイザー株式会社)調査分析室長へ転籍を経て2009年5月より現職。ラジオNIKKEI(月曜日)、ストックボイス(木曜日)等でコメントを発信中。Newsモーニングサテライト(テレビ東京系)に出演。定期的寄稿もある。

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