夜間取引

2025.09.26

夜間市場クォータリーレポートを発表 2025年4月~6月期

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私設取引システム(PTS)の運営を主軸に金融サービスを展開するジャパンネクスト証券株式会社(本社:東京都港区、代表取締役CEO:山田正勝)は、2025年4月〜6月期における夜間市場の動向をまとめた四半期レポートを公開いたしました。 ※2025年7月時点/当社調べ(PTSにおける売買代金に基づく)

前回のレポートは[こちら]からご覧いただけます。

第2四半期の売買代金に見る変化

2025年の第2四半期(4月~6月)のナイトマーケットは、売買代金が堅調に推移し、過去の四半期と比べて大きな変化を見せました。一日の平均売買代金は126.6億円で、それまでの5四半期の平均売買代金(70億円程度)と比較すると、およそ1.8倍の増加という結果になりました。

以下、箱ひげ図(データの統計的なばらつきをわかりやすく表現するための統計図~文末参照)を使って売買代金推移を見てみます。

図1:売買代金(億円)比較/年

2024年と2025年の比較を見ると(図1)、2024年については売買代金の箱が小さく、外れ値も少ないことから、売買代金がある範囲で推移するような低位安定であったことが窺えます。一方、2025年については、箱も大きくなり、外れ値も多いことから、売買代金が総じて増加、売買が極端に(統計的な範囲を超えて)増加する日も多いことから、売買代金の量と変化が大きかったことを物語っています。ここから、さらに掘り下げて、以下に四半期別にも見てみます。

図2:売買代金(億円)比較/四半期

四半期別で見ると(図2)、実は2025年第1四半期についてはあまり動きがなく、2024年通年と変わらない動きであったことがわかります。変化が出たのは、明らかに当該第2四半期からで、箱が上方に推移し、その大きさも大きくなっています。更に、年ベースでは外れ値である異常値とみられたものが、通常範囲に収まっていることから、全体の売買のレベル感がアップしているものと推察され、当該四半期にナイトマーケットは大きく変化したと考えられます。

変化の要因に関する考察

このような変化の要因について考察すると、以下の2点につながるものと思われます。
① トランプ政権からの発信に伴うボラティリティの上昇
② 迫ってきた米国における24時間取引開始
第一に、上記〈①トランプ政権からの発信に伴うボラティリティ上昇〉についてですが、まずはナイトマーケットのボリュームプロファイルについて振り返ります。ナイトマーケットの売買が膨らむ時間帯は大まかにいって2か所あります。一つは、ナイトマーケット開始直後の17時頃、もう一つは22時~24時頃です。前者については常時ではありませんが決算発表のような引け後の情報に牽引されて売買が膨らむ時間帯、後者についてはニューヨーク市場が開く時間帯で、米国の新たな情報に加え、投資家のナイトマーケットでの手じまいも増える時間と言えます。

ここで、第1四半期と第2四半期における日次ベースの5分毎のボリュームプロファイル(図3)を見てみると、マーケット開始直後の増加も見られるものの、22時以降の部分については形状そのものが変化していることから、ニューヨーク市場開始近辺の盛り上がりが窺え、ナイトマーケットの売買代金増加に寄与しているものと推察されます。

図3:日次売買代金プロファイル(5分)

第二に、上記〈②迫ってきた米国における24時間取引の開始〉について考えてみます。
米国では来年、ニューヨーク証券取引所(NYSE)の22時間取引やナスダックの24時間取引の開始などが予定されています。これは、とりもなおさず、今後、世界的に24時間取引化の流れになることを想起させるものです。そのような思惑も手伝ってか、実際に当該四半期は海外投資家からの当社ナイトマーケットへの参加希望や問合せが相次ぎました。

この流れは、株は24時間取引できるのが当たり前といったスタンスに代わることを意味しており、海外の投資家から見ると、自国の取引時間に日本株を直接取引できるという利便性が生まれます。さすがに、日本市場で早期にそこまで至るには少々ハードルが高いものの、最終形態としてはそのような状況になるものと考えます。その前哨戦として、海外勢は日本のナイトマーケットに触手を伸ばしているものと推察されます。

そうであるなら、今後のナイトマーケットは参加者の増加やその属性の多様化に伴い、ますます売買代金の増加が見込まれる上、現在は特定の銘柄に集中している売買傾向にも変化や広がりが見られるものと考えております。

まとめ

冒頭にもありますように、当該四半期は過去の四半期と比べても大きく変化を遂げました。今後についてですが、マーケット規模の基本的な拡大傾向は続くものと思われます。自然増のみならず、8月からは新しいマーケットメーカーの参入の影響による増加も加わり、ナイトマーケットは順調に成長していくと考えます。
ジャパンネクスト証券は、私設取引システム(PTS)の運営に特化した証券会社です。PTSとは、取引所を介さずに株式など有価証券の売買を成立させる取引システムのことで、東証などの取引所と同様に、投資家の皆さまに多様な取引機会を提供しています。

当社は、国内で唯一「夜間市場」を運営しており、午後5時から翌朝6時までの間、海外の経済情勢や国内外のニュースに反応しながら取引を行うことができる環境を整えています。

こうした「夜間市場」のいっそうの認知度拡大につながればとの考えから、四半期ごとに独自のレポートを発行しております。ぜひ当レポートをご参考に「夜間市場」のご活用をご検討いただければ幸いです。

箱ひげ図

箱ひげ図 - Wikipedia より引用

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