夜間市場クォータリーレポートを発表 2025年1月~3月期
私設取引システム(Proprietary Trading System、以下PTS)の運営を主軸に金融サービスを展開するジャパンネクスト証券株式会社(本社:東京都港区、代表取締役CEO:山田正勝)は、前回に引き続き、夜間市場の四半期レポートを公開いたします。 ※2025年4月時点/PTS(私設取引システム)の売買代金において/当社調べ
ジャパンネクスト証券は、PTSの運営に特化した証券会社です。PTSとは、取引所を介さずに株式などの有価証券の売買を成立させる取引システムのことで、東証をはじめとする取引所と同様に投資家の皆さまに取引の機会を提供しています。
国内で唯一の「夜間市場」を運営しているジャパンネクスト証券では、午後5時から翌朝6時までの間、海外の経済状況や国内外の重大ニュースなどを見ながら取引することができます。「夜間市場」のいっそうの認知度拡大に繋がればとの考えから、四半期毎に当社独自の分析レポートを発行しております。皆さまにおかれましては、当レポートを参考に「夜間市場」のご活用にお役立てください。
前回のレポートは
こちらからご覧ください。
「夜間市場」の一日あたりの取引について
2025年第1四半期の「夜間市場」の一日あたり平均売買代金は、前四半期末から増加傾向を示し、3月には77.5億円となりました。売買代金が100億円を超える日も散見されるなど、好調なスタート状況となっております。
売買代金が100億円を超えた日について少し掘り下げてみると、売買代金が約150億円を記録した1月27日は、中国のAI(人工知能)関連企業である「ディープシーク」による低コストの生成AIモデルの発表を受け、ここまでの上昇場面を牽引した既存のAI関連事業が影響を受けるといった懸念から世界中の株式市場が大きく下落したタイミングに重なります。日本市場においても同様の動きから、翌日の株式市場への影響を踏まえ、夜間市場での指数連動型のレバレッジETFの取引が活発化しました。
また、売買代金が約146億円となった2月28日についても、トランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の首脳会談をきっかけとした地政学リスクの高まりを受け、指数連動型のレバレッジETFが活発に取引されました。
このように、売買代金が100億円を超えるような日は、足下の“トランプ関税”に代表されるような大きな変動を想起させるような株価材料から、指数連動型のレバレッジETFの売買が活発化するという代表的なパターンを示しております。
一方、直近四半期の「夜間市場」の一日あたりの平均取引銘柄数については、前四半期に比べ若干増加しているものの総じて横ばいの状況でした。セグメント別で見ても、TOPIX 100とTOPIX MID 400は総じて比較して横ばい、TOPIX Small、Non-Topixについては若干の増加となりました。
*期間中に銘柄の入れ替えがあった場合、例えば、TOPIX 100の取引銘柄数が100よりも多くなることがあります。
2025年1月~3月期 夜間市場の売買代金ランキング
次に、銘柄別の売買代金ランキングを見ると、前回と同様に、ETFでは「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投資信託(1570)」を筆頭に、株式指数連動型のレバレッジETFの取引が目立つ結果となりました。前述したように、大きな変動を想起させる株価材料に対しての動きが強く出た様子が窺えます。
一方、個別銘柄では、「メタプラネット(3350)」の売買が他の銘柄に比べて突出する結果となりました。これは当該期間の日次ベースの銘柄毎の売買代金ランキングで見ても、その多くが同銘柄であることから、当該期間における同銘柄の人気が非常に高かったことが窺えます。
そこで、上記の動きを紐解いてみると、ビットコイン保有戦略を打ち出した同社は、仮想通貨関連銘柄として注目され、ビットコイン価格の急騰に連動する形で株価が急上昇、投機的とも言える買いから出来高では連日で数百万株規模となりましたが、その後は、ビットコイン価格の調整局面に入りから3営業日連続で大幅安となるなど、株価は大幅に下落しました。期間中、上昇期待の買いと失望売りが交錯する形で、不安定な値動きが続きました。
このように、投機的な動きについては、日中の市場のみならず、夜間市場でもそれなりの規模で継続されます。これは「夜間市場」の特徴でもあり、「夜間市場」に参加される投資家の層が個人のお客様に偏重していることが要因であると思われます。
2025年1月~3月期 夜間市場の値動きについて
ここからは、東証の取引時間中にストップ高安となった銘柄にフォーカスして見ていきます。
東証の取引時間中にストップ高、またはストップ安となった銘柄は当然それ以上の高値、または安値での取引ができなくなります。通常、このような銘柄は、翌営業日に前日の終値を基準とした新たな制限値幅が適用されます。しかし、「夜間市場」では、翌営業日を待つことなく、新たな制限値幅が適用されて取引が開始されることから、夜間にさらなる値上がり(値下がり)を狙った取引が可能となります。
上記のグラフは、それぞれ左側がストップ高、右側がストップ安となった銘柄について、その後の動きはどうなったかという考察となっております。左側のグラフでは、当四半期中にストップ高となった銘柄は516ありました。そのうちの約64%(328銘柄)は「夜間市場」においても上昇、更に、それらの銘柄のうち58%(190銘柄)は、翌日の東証においても上昇が継続しました。
一方、ストップ安となった銘柄は76あり、そのうちの60%(45銘柄)が「夜間市場」でも値下がりし、更に、これらの銘柄のうち約60%(27銘柄)が翌日の東証でも続落となりました。
これは、前四半期レポートの結果と同様の傾向を示しており、東証の取引時間中にストップ高、またはストップ安となった銘柄は、夜間市場でも同方向に動き、更に翌日の東証でもその値動きが継続する確率が比較的高いことを示しています。
次は決算に関連した動きです。上記の棒グラフは、当該期間に決算発表をした銘柄のうち、「夜間市場」での売買代金が2000万円以上のみを抽出し、「夜間市場」での決算発表銘柄の価格の変動幅がどの程度だったかについてまとめたものです。これをみると、3%以上の値動きがあった銘柄はそのうち25%程度、1~3%の値動きのものまで含めると約55%が該当します。
ここから言えることは、多くの企業が決算発表を東証の取引時間終了後に行いますが、「夜間市場」を活用することで決算に基づく取引をすることや、翌日の東証での株価変動に備える取引をすること等が可能となります。前述のストップ高安になった銘柄も存在することから、収益機会は拡大するのではないかと考えます。
~終わりに~
「夜間市場」は、東証の取引時間終了後にリアルタイムで取引出来るのが大きなメリットです。
「夜間市場」をご活用いただくことで損失回避や利益確保の一助となりうるのではないかと期待しております。当社はこの分析レポートを四半期毎に発行し、皆さまにご報告させていただきます。引き続きジャパンネクスト証券のPTSならびに「夜間市場」を宜しくお願い申し上げます。