金融・投資

2023.05.31

教育資金を投資で準備するのはアリ?いくら必要?最新の貯め方をチェック!

  • facebook
  • twitter
  • LINE

教育資金については「いくら準備したらいいの?」「何で貯めるのがおすすめ?」など、多くの親御さんが気になるテーマではないでしょうか。 昔からお決まりの貯め方はあるものの、今の時代に合った方法を取り入れて準備するのが賢い方法だと言えます。 まずは教育資金の平均額を確かめて、次に貯め方についてお話しします。

今回お話を伺ったのは…

小沢美奈子さん

小沢美奈子さん

K&Bプランニング代表。大学卒業後、損害保険会社にて社員教育、研修講師、営業などを経験。会社員時代に取得したファイナンシャルプランナー資格を活かし2015年に開業。Webや雑誌などでのマネー記事執筆、セミナー講師、個人コンサルティング、女性向けマネーコミュニティの投資講師のほか、フォトグラファーとしても活動中。趣味はカメラとバレエ。著著「本物の節約・残念な節約」(河出書房新社)
https://kandbplanning.org/

教育費はいくらかかる?

文部科学省が公表している「令和3年度子供の学習費調査の結果」※1 で確認してみましょう。
1年間の教育費
学校種別 公立 私立
幼稚園 16.5万円 30.9万円
小学校 35.3万円 166.7万円
中学校 53.9万円 143.6万円
高等学校(全日制) 51.3万円 105.4万円
※費用には、入学金や授業料などの「学校教育費」のほか、塾代や習い事費用などの「学校外活動費」が含まれる
子育て世帯の負担を減らすための政策として、3歳から5歳までの幼稚園、保育所、認定こども園などに通う子どもの利用料無償化や、高校の授業料が無償となる「高等学校就学支援金」制度がありますが、調査結果の金額は無償化が適用された後に保護者が負担した金額です。
調査結果を見ると、公立か私立かによって金額が大きく異なっています。
たとえば、幼稚園のみ私立で小学校から高校まで公立に通った場合の合計は620.1万円になります。一方、すべて私立通った場合は1839.9万円と、大きな開きがあるようです。
高校卒業後の進路別費用について、日本政策金融公庫が公表する「令和3年度 教育費負担の実態調査結果」※2 で確認してみましょう。
学校種別 入学費用 1年間の在学費用
高専・専修・各種学校 50.2万円 116.9万円
短大 73万円 137万円
国公立大学 67.2万円 103.5万円
私立大学文系 81.8万円 152万円
私立大学理系 88.8万円 183.2万円
※「入学費用」には受験費用や学校納付金、入学しなかった学校への納入金、「在学費用」には授業料や通学定期代、参考書や問題集の購入費などが含まれる。
どの進路先を選んでも、1年間の在学費用は100万円を超えてくるのが実情です。
たとえば大学に4年間通った場合の入学金を含めた総費用を確認すると、国公立大学は481.1万円、私立大学文系で689.8万円、私立大学理系では821.6万円になります。

大学費用は子どもが小学生までに準備を

一般的に教育費の負担が一番大きくなるのは、子どもが大学生の時です。受験時には「待ったなし」でまとまった金額を払い込むことがあるため、直前に用意していたのでは間に合わないでしょう。したがって大学の費用は、できる限り早めに準備する必要があります。貯める時期は、教育費の負担がまだ少ない、子どもが誕生してから小学校までの間に貯めるのがおすすめです。教育資金の準備は大学の費用に照準を合わせ、高校までの費用は、家計の中から捻出するようにしましょう。
教育費をいくら貯めておけばよろしいでしょうか。国公立大学の学費でさえ500万円近くかかっていることからすると、最低でも子どもひとりにつき400万円以上貯めることを目標にしたいものです。

教育費の貯め方のコツ

まずは児童手当を貯めることを心がけましょう。仮に児童手当を誕生からすべて貯めた場合、200万円近くにもなります。小学生から貯め始めても100万円くらいは貯められます。なお児童手当については、岸田政権の「異次元の少子化対策」により拡充が見込まれている ※3 上に、出産費用の保険適用や学校給食費の無償化も掲げられています。子どものいる家庭にとっては朗報とも言える政策ですので、浮いたお金は意識して貯蓄につなげましょう。
一方、学資保険はどうなのでしょうか。確かに口座振替で確実に貯められるメリットはあります。また、返戻率の高い商品を選べば増やせるチャンスもありますが、昨今の状況を見ると増え方に多くの期待はあまり持てないと言えるでしょう。
「増やす」視点で言えば、投資信託や株式での運用が候補に挙げられます。もちろん、投資である以上元本保証はありませんが、この低金利時代に投資は「増やす」ための有効な方法でしょう。「投資はなんとなく心配」という方には、たとえば教育費の多くの比率を銀行の定期預金や財形貯蓄制度で貯め、残りを投資で準備してみるとよいと思います。とりわけ投資はNISA(小額投資非課税制度)を活用することで、運用益に対する税金がかからず、お得に運用が可能です。なお、現行制度(2023年時点)においてNISAには「つみたてNISA」と「一般NISA」の2種類があります。「つみたてNISA」は金融庁が選定した一定の投資信託やETFでの運用に限定され、「一般NISA」は投資信託やETFのほか個別株の運用も可能です。投資に慣れていない方は、「つみたてNISA」で少額の積み立て投資を始めてみるのがおすすめです。

大切なのは長期・積立・分散投資

教育資金は将来ほぼ確実に使う資金であるため、リスクを抑えた運用が肝要です。そのためには長期・分散・積立投資を心がけましょう。幅広く分散投資ができる投資信託やETFでの運用が理想的です。また、投資信託の「積み立て」を活用すれば、ほったらかしで貯められるため、忙しいパパやママでも着実に貯められるメリットがあります。
他方、個別株にも投資したいという方もいると思います。とはいえ、日中に相場の動向を見ている暇はない方がほとんどでは? そこでおすすめしたいのがジャパンネクスト証券株式会社他2社が提供するPTS(私設取引システム)の活用です。その中のジャパンネクスト証券のPTS は、日中はもちろんのこと、東京証券取引所の取引終了後の16 時 30分から午前 0 時前( 23 時 59 分)までの間も取引ができます。PTSを利用すれば、仕事で忙しい方も東証の取引時間に縛られることなくリアルタイムで取引が可能です。
さらに朗報ともいえるべきが、2024年からNISAの新制度がはじまり、より使い勝手がよくなることです。たとえば新NISAでは、つみたて投資枠を使って投資信託を積み立てながら、成長投資枠を使って個別株へ投資する、ということもできるようになります。しかも非課税口座では無期限で商品を保有できます。なお、2023年までの現行制度では、つみたてNISAと一般NISAの併用はできません。また、非課税保有期間はつみたてNISAが20年、一般NISAは5年間と、期間が限定されています。ぜひ有利な制度を活用して、教育費を効率よく貯めていきましょう。
【新NISAのポイント】 ※4
・非課税保有期間の無期限化
・口座開設期間の恒久化
・年間投資枠の拡大(つみたて投資枠:年間120万円、成長投資枠:年間240万円、年間最大360万円まで投資が可能)
・つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能
・非課税保有限度額は、全体で1,800万円。(成長投資枠は、1,200万円)
・枠の再利用ができる

最後に

教育費の準備において、今まで銀行預金や学資保険しか思いつかなかった方には、ぜひNISA口座を活用した投資信託や株式での運用を検討してみてください。すべて投資で準備するのではなく、まずは一部を準備することから始めましょう。もちろん投資にはリスクがつきものです。少しでもリスクを抑えるために、できるだけ長く運用することを心がけたいものです。
参照
※1 令和3年度子供の学習費調査の結果 
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/mext_00001.html

※2 令和3年度 教育費負担の実態調査結果
https://www.jfc.go.jp/n/findings/kyoiku_kekka_m_index.html

※3 こども・子育て政策の強化について(試案)
https://www.cfa.go.jp/policies/81755c56-2756-427b-a0a6-919a8ef07fb5/

※4 新しいNISA
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa2024/index.html
※本記事に掲載されている全ての情報は、2023年4月27日時点の情報に基づきます。
※あくまでも小沢さん個人の投資手法を説明するための例示および見解であり、ジャパンネクスト証券株式会社が取引の勧誘をするものではありません。

RELATED

>