金融・投資

2023.04.24

今回お話を伺ったのは…

松村雄太さん

松村雄太さん

Web3総合研究所 代表。早稲田大学商学部卒。新卒で外資系IT企業に入社後、インドに1年間駐在。その後、外資系コンサルティングファームを経て、メディア系ベンチャー企業にて日本の大手企業向けに、国内外のスタートアップやテクノロジートレンドのリサーチ・レポート作成を担当。社会人一年目から国内外の株式や暗号資産への投資を実践。近年はNFTをはじめとしたWeb3分野に注目している。
現在はWebメディア「Web3総合研究所(https://crypto-ari.com)」を運営しつつ、NFT、メタバースなどについて学べるコミュニティを主催。
書籍の執筆や監修、講座の作成や監修、講演、寄稿などの活動にも力を入れている。
著書に『NFTがよくわかる本』、『メタバースがよくわかる本』など、監修書に『Web3がよくわかる本』、『イーサリアムがよくわかる本』(全て秀和システム)など多数。

話題の”NFT”とは?

投資についてご説明する前に、まずはNFTについての解説からはじめます。NFTはNon-Fungible Tokenの略で、日本語では非代替性トークンと言います。簡単に言うと、あるデジタルデータがこの世に一つしか存在しないことを証明できるものです。
会話型AIのChatGPTに、「幼稚園児にもわかるようにNFTを説明して」とお願いしたら、「魔法のシールのようなもの」と返答してくれました。まさにそのようなイメージです。魔法のシール(NFT)を貼ったデジタルデータは、この世に一つしか存在しないデジタル資産であると証明できるのです。
従来、デジタルデータはコピーし放題で、何が元のデータかを証明することは困難でした。しかしNFTを活用すれば、見た目が同じでも本物と偽物を明確に区別することができます。
このNFTの性質により、自分のデジタルアートに十分な価値を認めてもらえなかったクリエイターも、より適正な評価を受けやすくなります。
なお、NFTアート作品が数億円、数十億円で売却されたというニュースを聞き、NFTはアート向けという印象を持っている人も多いかもしれません。しかしNFTは、実は非常に様々な分野・業界・用途で活用できるものとなっています。例えば、前述のNFTファッションやNFT音楽、会員権を証明するNFT、不動産取引で使えるNFTなど様々なものがあります。
また、NFTはメタバース(インターネット上の仮想空間)内での価値の移転をスムーズにします。例えば、あなたのアバター(メタバースにおける自分の分身となるキャラクター)が着ている服がNFTであれば、その服は価値を認められやすくなります。
さらに、「世界に一つしかない」「有名人が過去に所有していた」「高級ブランドがデザインした」など、そのNFTにプレミアがつけば、需要が高まり、価格が上がることも考えられます。あなたはその価値の高いNFTを持っていることを自慢できますし、他者に売却してその対価を受け取ることもできます。
NFTでなければ、その(デジタルの)服が本当に唯一のものなのかを容易に証明できず、スムーズな価値の移転も難しいでしょう。

NFTとブロックチェーン

NFTはビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)と同じくブロックチェーンという技術によって成り立っています。そのためNFTは、暗号資産、DeFi(Decentralized Finance、分散型金融)、DAO(Decentralized Autonomous Organization、分散型自律組織)、一部のメタバースなどと同じく、Web3(ブロックチェーンによる次世代のWeb)の要素と言えます。
なお、ブロックチェーンには下記の特徴があります。
  • 改ざんが非常に困難である
  • システムダウンが起きない
  • 自律分散システムである
  • 取引の記録を消すことができない
このように不正や改ざんを許さず、公正な取引を安定して記録し続けるブロックチェーンの自律分散システムは、暗号資産やNFTの取引など高い信用度が求められる分野で活躍しています。

投資目的でNFTを始めるとしたら?

NFTを投資対象として考える場合も、株や不動産と同じく、そのNFTがどのような価値を持ち、今後どのような価値をつけそうか分析することが重要です。
NFTは個人間で売買することもできますが、まずはマーケットプレイスと呼ばれるNFTが売り出されているプラットフォームで目当てのNFTを探すのが良いでしょう。
ここで一点注意していただきたいのは、マーケットプレイスで取り扱われているNFTも玉石混交な場合があるということです。また、ECサイトにもAmazonや楽天市場等、様々な市場があるように、NFTマーケットプレイスにも様々な種類があります。なお、広く利用されているマーケットプレイスを一つ挙げると、「OpenSea」というものがあります。
NFTは株式のように上場という概念が基本的にはないので(一部のマーケットプレイスは審査制)、それが本当に信頼のおける(価値のある)NFTなのかをまずはチェックすることが重要です。
すぐできるチェック方法は、そのNFTが公式の団体か、あるいは個人が発行しているものかどうか、確かめることです。
ある程度しっかりした発行者のいるNFTであれば、TwitterなどのSNS公式アカウントでNFTの情報を公開していることが多いです。その内容と照らし合わせて、マーケットプレイスでこれから販売される・すでに販売されているNFTが本物かどうかチェックしましょう。また、一般販売後のNFTであれば、マーケットプレイスにおいてある程度の取引量があるかどうかもチェックしましょう。本物は盛んに取引されているものの、偽物はほとんど取引されていない場合が多いです。
なお、NFTは暗号資産と同じように、円やドルなど法定通貨で換算した場合の価値の変動が激しいことも多いです。そこで、中長期的に価格が比較的安定しやすいNFTかどうかを見極めるために、ユーティリティも確認することをおすすめします。
ユーティリティとは、そのNFTを購入・保有することによる特典・メリットです。ファンクラブの会員権やゴルフ会員権などの特典・メリット(優先的にコンサートのチケットが取れる、会員専用ラウンジを使える、等)をイメージいただくとわかりやすいでしょう。
ユーティリティの充実したNFTであれば、そのNFTを保有していると良いことがあるので、そのNFTを保有する人が増えやすいです。そうすると、価格が下がりにくいですし、むしろ欲しい人が増えて価格が上がりやすいと言えます。
以上、まだまだ書き足りないことは多いものの、今回は簡単にまとめてみました。
まずは、OpenSeaなどのNFTマーケットプレイスを覗いてみてください。

NFTのメリットとデメリット

NFTのメリットとデメリットも気になるところだと思います。
NFTの大きなメリットは将来性があることです。NFTは近年、「インターネット以来の革命」と言われるなど大きな注目を集めてきました。ただ、NFT市場は暗号資産市場に左右されるところも大きく、時期によって盛り上がったり、盛り下がったりしているのが現状です。
短期的には不安定な状況ではありますが、中長期的には様々な分野において活用が進むと期待されています。5年後、10年後には、知らず知らずのうちに多くの人がNFTを利用することになるかもしれません。
また、投資・トレードの観点で言うと、曜日や時間に左右されることなく取引できることもNFTのメリットです。
現在は株式でも、伝統的な対面証券からネット証券を活用した取引の他、ジャパンネクスト証券株式会社他2社が提供するPTS(私設取引システム)を活用した取引も可能です。一般的に、株の売買は証券取引所が開いている時間にしかできませんが、PTSを活用することでそれ以外の時間でも取引することができます。
また暗号資産で取引する場合、NFTには国境も法定通貨も関係ないので、自分のNFTを海外の人に販売して利益を得ることも可能です。
一方、メリットの裏返しでもありますが、NFTのデメリットはまだまだこれからの分野であり、不確定要素も多いことです。
さらには、まだ知識が少ない人が多い中、その弱みに付け込んで詐欺を仕掛けてくる人も出てきています。しかし、無闇に怖がることはありません。少しでも知識武装しておくことで詐欺やトラブルに遭うリスクを大幅に減らせます。ネット上にも様々な情報がありますが、何を参照していいかわからない場合は、拙著『NFTがよくわかる本』(秀和システム)をご覧ください。

まとめ

本記事では、話題ではあるものの一体なんなのか理解しづらいNFTの基礎知識とNFT投資について、簡単に解説しました。
今後さらに伸びると期待されているWeb3分野(暗号資産、NFT、メタバースなど)について興味を持ち、勉強も兼ねて実際に投資してみるのも良いでしょう。数百円くらいでもできますので、比較的手軽に始められます。
まだまだ未知の領域に見えるかもしれませんが、勇気を出して一歩踏み出してみると、そこには大いなる新たな世界が広がっていますよ。
※本記事に掲載されている全ての情報は、2023年4月20日時点の情報に基づきます。
※あくまでも松村さん個人の投資手法を説明するための例示および見解であり、ジャパンネクスト証券株式会社が取引の勧誘をするものではありません。

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