金融・投資

2024.01.18

新NISAでお得に活用!「アクティブETF」メリット・デメリット・投資のポイントを解説

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2023年9月、日本ではじめてとなる「アクティブETF」が上場しました。アクティブETFは、海外ではすでに広く取引されていますが、日本ではまだまだ「新顔」です。 今回は、アクティブETFの特徴、これまでのETFやアクティブ型の投資信託との違い、アクティブETFのメリット・デメリットを紹介します。

今回お話を伺ったのは…

頼藤太希(よりふじたいき)さん

頼藤太希(よりふじたいき)さん

(株)Money&You代表取締役/マネーコンサルタント
中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)など著書累計130万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。
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日本でも解禁「アクティブETF」とは何か?

アクティブETFは、連動対象の指標がないETFです。ETFは「上場投資信託」といって、証券取引所に上場している投資信託です。
ETFには、大きくわけてインデックスETF(インデックス連動型ETF)とアクティブETFがあります。インデックスETFは、たとえば「TOPIX」や「S&P500」といった指標と連動することを目指しています。それに対してアクティブETFは、指標との連動は目指しません。代わりに、運用会社やファンドマネージャーが決めた方針に基づいて運用し、目標を上回る利益をあげることや、ベンチマークを定めずにできるだけ利益をあげることを目指します。
これまで、日本の証券取引所に上場しているETFはインデックスETFのみでした。なぜならば、東京証券取引所(東証)は、インデックスETFしか上場を認めてこなかったからです。
しかし、海外ではすでにアクティブETFが多数運用されています。英国の調査会社「etfgi」によると、アクティブETFは2023年7月時点で世界25か国・33の取引所に上場していて、資産総額は6280億ドル(約90兆円)にも達しています。
そういった世界的な背景を踏まえ、東証も国際競争力を維持向上するために、2023年6月にアクティブETFを解禁。9月7日に国内初となるアクティブETFが東証に上場しました。

低コストで運用も可能!?「アクティブETF」の特徴

アクティブETFの特徴を、これまでのインデックスETF・アクティブ型投資信託と比べて確認してみましょう。
アクティブETFとインデックスETFの違いは、冒頭で紹介した「指標と連動するかしないか」の違いと、ETF保有中にかかる経費率(信託報酬とその他費用を合わせた費用を平均純資産残高で除したもの)の違いくらいしかありません。
どちらも証券取引所に上場しており、証券会社を通じて株と同じように売買ができます。購入時手数料は利用する証券会社により異なりますが、無料にしている証券会社を利用すれば手数料はかかりません。
ETFの経費率は商品により異なりますが、アクティブETFのほうが高めです。インデックスETFは0.1%〜0.4%程度に対し、アクティブETFは0.5〜0.8%程度となっています。アクティブETFは、インデックスETFと違って投資先の商品の選定に手間がかかるので、その分手数料が高くなっています。
●アクティブETFとアクティブ型投資信託の違い

アクティブETFとアクティブ型投資信託の違い (株)Money&You作成

アクティブETFとアクティブ型投資信託の最大の違いは「証券取引所に上場しているか、していないか」です。ETFは証券取引所に上場していますが、投資信託は上場していません。投資信託は1日1回算出される「基準価額」(投資信託の値段のようなもの)をもとに取引します。株のような成行・指値の注文はできません。
アクティブ型投資信託はアクティブETFよりさらに手数料が高くなっています。購入時手数料は無料のものもありますが、高いものでは3%程度かかる場合も。信託報酬も年1%〜2%程度と、アクティブETFよりも高くなっています。
アクティブ型投資信託の最低購入金額は、証券会社により異なりますが、少ないところでは100円、多くは1,000円程度からとなっています。また、分配金は自動で再投資できます。

「アクティブETF」の種類とメリット・デメリット

アクティブETFは、 2023年11月21日時点で8銘柄が東証に上場しています。
●アクティブETFの一覧

アクティブETFの一覧 (株)Money&You作成

このうち「NEXT FUNDS日本成長株アクティブ上場投信」「NEXT FUNDS日本高配当株アクティブ上場投信」などは、王道のリターン追求型のアクティブETFです。リターン追求型は、特定の市場(ここでは、国内株式)に投資することで、資産を成長させることを目指します。うまくいけば、国内株式市場全体に投資するよりも高いリターンが得られます。
「上場Tracers米国債0-2年ラダー(為替ヘッジなし)」はルールベース型のアクティブETFといって、残存期間2年以下の米国国債を4つのグループに分けて均等分散投資を行います。「事前に決めたルールにのっとって投資を行う」という点ではインデックス運用(厳密には、パッシブ運用)に近いのですが、連動を目指す指標がないためアクティブETFに分類されています。
また、「PBR1倍割れ解消推進ETF」「政策保有解消推進ETF」のようなテーマ型のアクティブETFもあります。たとえば「PBR1倍割れ解消推進ETF」は、PBR(株価純資産倍率)が1倍未満の企業に投資して、PBRの向上を働きかけます。
このように、アクティブETFには既存のETFにはないさまざまな商品ラインナップがあるのがメリットです。ポートフォリオに取り入れることで、より自分にあった投資が実現します。それによって、既存のETFよりも高いリターンを狙うこともできるでしょう。
また、ETFは投資信託と違って、ETFの構成銘柄や投資の割合を日々公表する必要があるため、投資信託より透明性が確保されています。アクティブ型投資信託より低コストで投資できるのもメリットです。
一方で、商品の理解力は必要です。アクティブETFは連動を目指す指標もなく、投資の方法も商品によってさまざまです。投資しようと考えているアクティブETFがどんな商品で、どうなると値上がり(値下がり)するのかを理解する力は必要でしょう。また、インデックス型のETF・投資信託よりはコストが高めな点はデメリット。そのぶん、高いリターンを出せるのか、しっかりチェックすることも重要です。
そして、アクティブ型投資信託にも通じることですが、アクティブETFは商品が出たばかりで運用実績がありません。過去の運用実績がいい商品が今後も好調を維持するとは限りませんが、過去の運用実績は商品選びの参考にはなります。実力が未知数である点には注意しましょう。

「アクティブETF」を活用するポイント

アクティブETFは、既存のアクティブ型投資信託よりも安いコストで投資できるのがメリットです。すでにある程度資産運用をしていて、資産の上乗せを狙いたいというときに、アクティブ型投資信託の代わりにアクティブETFを利用することで、よりコストを抑えた投資ができるようになります。投資のコストは、利益を確実に減らしてしまう要因ですから、当然なるべく少ない方が有利です。資産を増やしたい投資家の「次の一手」として活用する価値は十分あるでしょう。
一方、これはアクティブETFに限った話ではありませんが、ETFは分配金が再投資されず、投資家に直接支払われます。投資信託の場合は、自動的に再投資することで複利効果が得られますが、ETFの場合にはこうした効果が得にくい点には注意が必要です。多少手間がかかりますが、自分で投資金額を調整するなどして分配金を再投資するとよいでしょう。
前述のとおり、日本のアクティブETFの実績はまだ少ないのが実情です。現段階の情報で投資先を選ぶには、相応の選択眼が必要です。3年程度待って、運用実績が出るのを待ってみるのも一つの手です。

まとめ

2024年から新NISAがスタートすることを機に、投資を始めようという方もいるでしょう。今回紹介したアクティブETFは、新NISAの成長投資枠で購入可能です。新NISAで購入すれば、運用益の非課税期間を無期限にできます。
ただ、アクティブETFは、インデックス型の投資信託やETFのように長期で堅実にお金を増やす商品ではなく、短期・中期で運用成績を上げるのに適した商品です。特にテーマ型のアクティブETFは、投資タイミングを考える必要もあるため、投資中級者〜上級者向きでしょう。
新NISAでは、まずはつみたて投資枠でインデックス型やバランス型の投資信託を中心に運用します。その後、資産が増えてきたら成長投資枠で個別株や高配当株・増配株などのインデックスETFに投資し、堅実に資産を増やします。アクティブETFは、その次に検討するくらいでよいかもしれません。投資するにしても、まずは少額からはじめるのがよいでしょう。
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※本記事に掲載されている全ての情報は、2023年11月27日時点の情報に基づきます。
※あくまでも頼藤太希さん個人の投資手法を説明するための例示および見解であり、ジャパンネクスト証券株式会社が取引の勧誘をするものではありません。

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