株式

2025.08.28

今回お話を伺ったのは…
長期株式投資(ちょうきかぶしきとうし)さん

長期株式投資(ちょうきかぶしきとうし)さん

「日本の配当株」メインの個人投資家。
1級FP技能士。2004年から株式投資を始めるも、2006年のライブドアショックで大きな損失を経験。その後は大型株へ投資対象をシフトするがリーマンショックで壊滅的な状況を経験する。以降は配当を重視した投資戦略で着実に資産形成を進め、配当生活が視野に入った2023年春に長年勤めた会社を早期退職。
著書に『オートモードで月に18.5万円が入ってくる「高配当」株投資』『年に471万円が入ってくる「鉄壁配当」 後悔ゼロの“早期リタイア計画”』(KADOKAWA)、『マンガでわかる!超はじめての株式投資』(永岡書店)など。趣味は武術全般で、空手と剣道の有段者。

高配当株(高配当銘柄)とは?

高配当株についての具体的な定義は存在していないと考えますが、一般的には配当利回りが3~4%以上の銘柄を指すケースが多いようです。個人的には、配当利回りが政策金利プラス3%程度以上となっていれば、高配当株とみなしています。現在の政策金利は0.5%ですので、0.5%+3%=3.5%以上だと高配当株ということですね。
なお、配当利回りは、以下の計算式で求めることができます。
配当利回り(%)=1株当たりの配当金÷株価×100

高配当株は、株式投資初心者はやめたほうがいい?

投資初心者だからという理由で、高配当株を避ける必要はないと考えています。逆に、配当利回りは比較的わかりやすい指標であることから、株式投資の初心者にとって活用しやすいのではないでしょうか。
配当は定期的に振り込まれますので、株式投資の短期的な成果を「見える化」することができます。短期的な成果(配当)を実感できることは、株式投資の初心者が長く投資を続けていく上で、モチベーションを維持するのに役立つでしょう。
その一方で、配当の持続性については留意しておいたほうが無難です。業績が悪化すると、企業が配当の原資を確保できなくなる可能性があります。その意味では、業績が悪化傾向にある銘柄は避けたほうがよいと考えます。

企業・業界別高配当株の選び方(2025年8月時点)

高配当株を探すときには、これまでの配当実績を勘案して銘柄を選択すると、負けにくい投資ができるようになるでしょう。日本経済新聞社は毎期の増配を継続している銘柄に着目した「日経連続増配株指数」を公表していますので、その採用銘柄を参考にするのも1つだと考えます。
「日経連続増配株指数」の採用銘柄から高配当のものをピックアップしておき、分散して投資することで、毎年の増配で受取配当額が持続的に増加していくポートフォリオを作り上げることができるでしょう。
「日経連続増配株指数」の採用銘柄で、配当利回りが3.5%以上の銘柄をいくつか紹介します。
・証券コード8593 三菱HCキャピタル(26期連続増配)
・証券コード7504 高速(21期連続増配)
・証券コード8424 芙蓉総合リース(20期連続増配)
・証券コード8425 みずほリース(20期連続増配)
・証券コード7613 シークス(18期連続増配)
・証券コード2374 セントケア・ホールディング(17期連続増配)
・証券コード4205 日本ゼオン(15期連続増配)
・証券コード5970 ジーテクト(15期連続増配)
・証券コード6294 オカダアイヨン(15期連続増配)
また、配当利回りは上記銘柄と比べて少し低くなりますが、以下のような鉄板の優良銘柄を組み込むことで、ポートフォリオはより重厚で安定的なものとなってくれるでしょう。
証券コード9433 KDDI(23期連続増配)
・証券コード2502 アサヒグループホールディングス(17期連続増配)
・証券コード1925 大和ハウス工業(15期連続増配)
・証券コード9432 NTT(14期連続増配)
さて、上記の投資手法をシンプルにまとめると、
STEP1 連続増配銘柄を確認
STEP2 配当利回りの高い銘柄をピックアップ
STEP3 銘柄を分散して投資する
となります。
この投資プロセスを踏めば、それなりに負けにくい投資ができると考えますが、もうひと手間かけることで投資判断の精度を上げることが可能です。それがPERの活用です。

株価とPERの関係

PERとは、Price Earnings Ratio の略で、Price は「株価」、Earningsは「収益」、Ratioは「率・割合」を意味し、日本語だと株価収益率と呼ばれています。PERは、株価が割安か割高かを判断する際に役立つ指標です。
株価は、割高になっていることもあれば、逆に割安となっていることもあります。短期的にはこの割高と割安の間を行ったり来たりしながら、長期的にはゆるやかに上昇するのが、通常の株価の動きとなります。割安のときに投資ができれば将来のリターンは高くなり、現時点で割安かどうかを判断するために活用できる投資指標の1つがPERです。
割高と割安の水準は過去のPERの推移から確認が可能ですので、割高(PERの値が高い)のときには投資を控え、割安(PERの値が低い)のときに投資する。このようなルールを設定することで、負けにくい投資を実践できるようになるでしょう。
例えば、NTTのPERの推移を確認すると、この原稿を執筆している現在で過去5年間におけるPERのレンジ(値幅)は9.3~13倍程度となっています。
これは、この値幅が過去に投資家が許容してきたバリュエーション(この水準で買っていた)であることを意味しています。つまり、過去に株価が下落して割安になった際にはPERが9.3倍程度となるまで売られ、株価が上昇して割高となったときにはPERが13倍程度となるまで買われたということです。
これらのことから、NTTにおいては、PERが9.3倍程度まで下がれば割安な状態でお買い得、PERが13倍程度まで上がっていれば割高な状態のため投資は控えたい、という判断が可能になります。簡単に確認ができますが効果は抜群ですので、ぜひ活用してみてください。
なお、PERは以下の計算式で求めることができます。
PER(倍)=株価÷1株当たり純利益(EPS) 

投資をするべきでない高配当株の特徴

高配当株へ投資する際には、配当性向に留意しておいたほうがよいでしょう。配当性向とは、稼いだ利益の中からどの程度の配当金を支払ったかという指標です。
高配当で毎期の増配を継続している銘柄であったとしても、利益が成長していなければ次第に増配する余力がなくなっていきます。過去の1株利益(EPS)の推移を確認して、増加傾向にある銘柄を選択し、減少傾向にある銘柄は避けるようにすることで、投資の判断ミスを少なくしてくれることでしょう。
なお、配当性向は以下の計算式で求めることができます。
配当性向(%)=1株当たり配当÷1株当たり純利益(EPS)×100

まとめ

最後に高配当株投資のポイントを改めて整理しておきましょう。
以下の基本的な投資プロセスを踏むことで、負けにくい投資が実践できるようになります。
STEP1 連続増配銘柄を確認
STEP2 配当利回りの高い銘柄をピックアップ
STEP3 銘柄を分散して投資する
また、あわせて過去のPERレンジ(値幅)を確認して、値が低いとき(つまり割安な状態にあるとき)に投資するよう意識してみましょう。最初は調べるのに時間がかかるかもしれませんが、慣れてくればすぐにできるようになります。
これらは誰にでもマネができて成果が出やすい投資手法ですので、ぜひ少しずつでもトライしてみてください。継続的に投資をおこなっていくことで、着実な資産形成を進めることができるでしょう。
※本記事に掲載されている全ての情報は、2025年8月19日時点の情報に基づきます。
※あくまでも長期株式投資さん個人の投資手法を説明するための例示および見解であり、ジャパンネクスト証券株式会社が取引の勧誘をするものではありません。

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