夜間取引

2022.12.20

投資歴12年にして、夜間取引に初挑戦! #05

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ストップ安銘柄を取引してみた!結果は…?

朝晩の虫の鳴き声は、すっかり秋の音色になりました。夜間はエアコンなしでもぐっすり眠れるほどの過ごしやすい季節の到来です。ところが、株式市場は大型台風並みの荒れ模様。連日ストップ安をつける銘柄で、損失を出してしまった個人投資家さんの嘆きも聞こえてきます。そんな中、夜間取引わかばマークのわたしが、ストップ安銘柄で、果敢に夜間取引に挑戦!結果はいかに?

<3営業日で半値の銘柄、もしやチャンス?>

夜間取引のしくみや、売買の方法については、これまで取引を繰り返すうちにおおむね理解しました。日中ストップ高をつけた低位株(株価水準が低い銘柄)は、翌営業日もストップ高になりやすいため、夜間に買えば利益が出やすいと考えましたが、必ずしもそうならないということも分かりました。

これといった必勝パターンが見つからない上、決算シーズンを終えて、材料が出にくいことも重なり、若干、夜間取引に対するモチベーションが下がりつつあったある日、値上がりランキング上位の常連だったダブルスコープ(6619)が、突如ストップ安に。

ことの経緯を追ってみましょう。
ダブルスコープは、リチウムイオン電池用の絶縁材メーカーです。事業は韓国子会社が担っており、おもな取引先は韓国電池企業です。EV自動車の需要が伸びていることもあり、業績は好調。

9月14日(水)には、子会社W-SCOPE CHUNGJU PLANT(WCP)がフランス産業財産庁から、INPI、Alteo(フランス化学品メーカー)との3者による欧州でのEV用バッテリーのサプライチェーン構築の正式要請を受けたと発表。

9月15日(木)には、株価は3,175円という年初来高値をつけました。

ところが9月16日(金)に、韓国コスダック市場で上場予定だった子会社W-SCOPE CHUNGJU PLANT(WCP)の公募価格が当初の予定を下回る見通しと韓国メディアに伝えられたことによって、株価は下落に転じ、当日は-16.8%安。

この報道の翌営業日である9月20日(火)にはストップ安。

さらに9月21日(水)もストップ安、制限値幅いっぱいの1,579円になっています。たった3営業日で株価が半値になるといったドラマティックな展開です。

もともとダブルスコープは、個人投資家さんからの人気も高く、SNSでもよく見かける視聴率の高い銘柄です。それゆえに流動性も高く、デイトレード向きではありますが、わたしはデイトレをまったくしませんし、人気が高い銘柄は、ボラティリティーも高くなりがちですので、敬遠しておりました。しかし、ここでふと「夜間取引はどうなってるのだろう?」と好奇心がムクムクと湧き上がり、二営業日連続ストップ安になった9月21日(水)の夜間に板状況を確認。そこには、今まで見たことないほど厚みのある注文が並んでいました!

藤川さんよりご提供頂いた取引画面

株価は、日中の終値1,579円からみるとかなり安くなっております。ここはひとつ、損失覚悟で買ってみようか?わたしの投資魂が、こんな好機を見逃すことを許しませんでした。買い板に出されている注文のいちばん安い金額よりさらに下の1,250円で指し値注文を発動。ドキドキしつつ寝る準備をしていたら、注文を出してから20分ほどで約定のお知らせが! 

藤川さんよりご提供頂いた取引画面

こうなったらもう明日を待つしかありません。明日もストップ安になるようなら目も当てられませんが、信用取引ではないので、最大でも損失は購入金額範囲内です。
そこでふと考えたのは、この銘柄を信用買いしてる人は、夜間に売りたいと思っても売れない苦しい状況であるということです。ということは、夜間で売り注文を出している人は、現物で株を持っている人に限られ、日中のストップ安では売却できなかった人が、明日まで待てない気持ちで売っているということになります。昼間の終値より20%も安い株価で売っているということは、明日はもっと下がると考えているのでしょう。信用買いしている人は、明日こそ売るぞ!と拳を握りしめているにちがいありません。

そして迎えた翌営業日の9月22日(木)。寄り付きは1,479円と、前日終値よりは安いものの、わたしが夜間取引で買った株価よりもかなり高いところからのスタート。さらにそこから上昇し、なんと1,749円と前日より200円近く高いところまで上昇しました。その後、やや失速してきましたので、1,512.6円で売却。約20%の利益となりました。こんなラッキーな出来事が頻繁に起こるとは思えませんが、夜間取引に挑戦することがなければ、ぜったい経験できない売買でした。
そして、よく見ると小数点の位まで細かい価格が表示されているので、PTSで売却されたということです。この銘柄は東京証券取引所では1円単位、PTSでは0.1円単位で取引されているので、1,512円よりも60銭高く売却しており、60銭×100株=60円高く売却したことになります。今回の金額は少ないですが、取引頻度や取引株数が増えると満足感はさらに増しそうです。

藤川さんよりご提供頂いた取引画面

<ストップ安銘柄を取引してみた!結果は…?>

ストップ安が二日連続となるとホルダーさんの心持ちは尋常ではありません。
通常、東京証券取引所やPTSでは、一日の売買における値動きの幅を価格水準に応じて一定に制限しており、この値幅を制限値幅といいます。2日連続ストップ安が続くと3日目は、この制限値幅が4倍に拡大されます。ダブル・スコープの9月21日(水)の終値は1,579円。株価1,500円以上2,000円未満の制限値幅は400円ですから、9月22日(木)の制限値幅は4倍の1,600円となります。株価が1,579円なので、1,600円下げたらゼロ円となりますが、この場合は、1円が下限となります。
これを知っているホルダーさんは、最悪、明日は1円になるかもと震えてしまいますよね? 1円になるくらいなら、夜間のうちに売れるものなら売っておきたいと考える人がいても不思議ではありません。むしろこういう状況で冷静ではいられない心理状態だからこそ、極端な安値で売ってしまう投資家が増えて理論価格から乖離するミスプライスが起こりやすいのでしょう。

これは、今後の夜間取引の手法として、非常に有効だと感じました。二日連続でストップ安になる状況はめったにありませんが、だからこそそうなった場合は、翌営業日の制限値幅4倍を恐れて夜間で安く売られるというのは、一定の確率で起こりうるのではないでしょうか?

<夜間取引に関するよくある質問>

今回で、夜間取引に関するわたしの体験記は終了となります。最後に、夜間取引に関するよくある質問にお答えしてしめくくりたいと思います。

質問1
夜間取引の株価は、翌営業日の始値に影響があるの?

回答1
まったくないとは言い切れませんが、今回のダブルスコープの例のように、かなりかけ離れた株価で始まることもよくあります。決算発表など、材料になるニュースが取引終了後にあった場合は、その材料を好感してるのかどうかは、夜間取引の値動きでおおよそ感じ取ることができます。反応がよければ、翌営業日に買おうと思う人が増えて、株価が上がりやすいというのはあるかもしれません。

質問2
夜間取引で買った株式は、日中の取引市場でも売れますか?
また逆に、日中に買ったものを夜間取引で売ることはできますか?

回答2
同じ証券口座に保有する銘柄であれば売買できます。(日中に購入した株を夜間取引で売却したい場合は、夜間取引ができる証券口座である必要があります。)

質問3
夜間取引で、株価が極端に安い買い注文や極端に高い売り注文が入っていることがあります。とても約定しそうにないのですが、なぜそういう注文を入れるのですか?

回答3
約定すればラッキー程度の気持ちで、現価格からかなり離れた株価で注文を出す人はいます。夜間取引は板が薄いので、なにかのきっかけで株価が動くと一方方向に動きやすい特長があります。注文を入れたときはかなり離れていても、実際に約定することもあります。

質問4
夜間取引の値上がりランキング、値下がりランキングはどこで見ることができますか?

回答4
株式新聞 私設市場(PTS)ランキング一覧
https://kabushiki.jp/pts/ranking?category=1

モーニングスター PTS株式ランキング
https://portal.morningstarjp.com/StockInfo/pts/ranking

などで閲覧できます。

質問5
夜間取引の取引量が少ないのはなぜですか?

回答5
日本の機関投資家の殆どは、すでに仕事が終了している時間なので、夜間取引には参加しません。一部の個人投資家と機関投資家のみの参加にとどまるため、取引量が少なく流動性も低くなります。今後、夜間取引市場の参加者が増えれば取引量が増加し、流動性が高まり、売買もよりスムーズになると思います。
※あくまでも藤川さん個人の投資手法を説明するための例示および見解であり、ジャパンネクスト証券株式会社が個別企業の紹介、特定の個別銘柄の推奨、または取引の誘引をするものではありません。
また、引用の掲載画像は、藤川さんがご同意の上ご提供いただいた画像であり、ジャパンネクスト証券株式会社が情報の正確性を保証するものではありません。
本記事に掲載されている全ての情報は、2022年9月28日時点の情報に基づきます。

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