おかげさまで当社の売買規模も一段と拡大し、現在では日本の上場株式売買におけるシェアは10%を超えるまでになりました。これに伴い、私たちの視界には「金融商品取引所」への転換という次なる挑戦がはっきりと見えてきています。
今回は、そもそも「取引所」とはどういうものなのか、その歴史を紐解きながら、当社のこれからの展望についてお話しさせてください。
時代とともに変わる取引所のカタチ
現在、日本にある現物株式の取引所は、東京(東証)、名古屋(名証)、福岡(福証)、札幌(札証)の4つ。さらにデリバティブを扱う大阪取引所、東京金融取引所があります。
かつては神戸、京都、広島、新潟にも取引所がありましたが、これらは時代の波(経営不振やシステム化への遅れ)の中で閉鎖されました。昔はお金や株券を物理的に持ち込んで清算していたため、地方の投資家が取引を行う場所、そして地場産業を育成する場所として、地方取引所には大きな存在意義があったのです。
しかし2000年代に入り、株券のペーパーレス化が進み、清算・決済機能がJSCCやJASDECに集中し、売買が完全に電子化されると、地方取引所はその役割を終えることとなりました。
現在の地方取引所の規模は、名証が年間売買代金約3,500億円、福証が約250億円、札証が約350億円です。
これらを東証(約1,835兆円/2025年度)や、当社PTS(約153兆円/2025年度)と比較すると、すでに売買の主戦場は大きく変化していることがお分かりいただけるかと思います。規模の面では、地方取引所は当社のような大手PTSよりもはるかに小さくなっているのが現状です。
また、テクノロジーの観点でも違いは鮮明です。地方取引所が東証のシステム(arrowhead)を利用しているのに対し、当社はグローバル基準であるNASDAQ製のマッチングエンジン「X-Stream」をベースに、自社で最先端のシステムを構築しています。
米国市場が証明する「競争」のポテンシャル
もちろん、取引金額やテクノロジーで圧倒していても、正式な「取引所」のライセンスをいただくまでには、多くの制度的なハードルが残されています。しかし、私たちはこれを一つずつクリアし、取引所への道を歩み進めていきます。
なぜ、そこまでして取引所にこだわるのか。それは、「健全な競争こそが市場を発展させる」という確信があるからです。
かつて米国では、NYSE(ニューヨーク証券取引所)が70%以上のシェアを独占していました。しかし、NASDAQによる電子化やテック企業の上場誘致、CboeによるETF展開など、激しい「市場間競争」が起きた結果、市場全体の規模が爆発的に拡大しました。NYSEのシェア自体は下がったものの、米国市場は世界の株式売買の半分以上を占める巨大市場へと成長を遂げたのです。
現在の米国は、取引所取引が約53%、ATS(日本でいうPTS)やダークプールが約47%というバランスです。取引所間でも、NASDAQやNYSE、Cboeだけでなく、小説『フラッシュ・ボーイズ』で有名になったIEXや、Members Exchange、24X National Exchangeなどが、独自の強みを武器に激しく競い合っています。
日本市場の未来のために
日本市場も活況を呈してきたとはいえ、米国市場は今なお日本の10倍以上の売買代金があり、さらに年内には「24時間取引」が開始される見込みです。
これ以上、世界との差を広げられるわけにはいきません。当社が取引所となり、東証という巨人と同じ土俵で切磋琢磨していくこと。それこそが日本市場を活性化させ、投資家の皆様の利便性を真に向上させる道だと信じています。これからも理想の市場の実現に向けて、全力を尽くしてまいります。