夜間取引

2022.08.22

株式投資歴12年にして、はじめて夜間取引に挑戦してみようと決めたものの、いまだ一歩を踏み出せておりません。極めて個人的な事情ですが…。わたしと同様の壁にぶつかる人もいると思いますので、その理由をお伝えしましょう。

<夜間取引はどこの証券会社を使おう?>

#01 できる投資家は夜間も取引してる!?』では、夜間取引ができる証券会社は、現状、SBI証券、松井証券、楽天証券の3社とお伝えしました。わたしは3社すべての証券口座を保有していますので、口座開設の必要はありませんでした。問題は、普段メインで個別株の取引に使っている証券口座ではないということです。この3社のいずれかの口座で株を保有していなければ、夜間取引で売却することはできません。

となると選択肢は…

1、現在保有している株を、夜間取引ができる証券会社の口座に引っ越しする。
2、現在保有している株はそのままで、今後は、すべての株を夜間取引ができる証券会社で買い、徐々にその口座をメイン取引口座として利用する。
3、日中のメイン口座はそのままで、夜間取引だけ別の口座で行う。

わたしが、これから株式投資を始める初心者であれば、夜間取引のことも加味した上で、最初から夜間取引ができる3社のうちのどこかにメイン口座を決めることができますが、なまじ投資歴が長いだけに、お引っ越しするのは大変です。
現実的には、2か3となりますが、使い勝手を考えると取引頻度の高い株の売買は、今のメイン口座を使いたい。消去法で選ぶとすると、3になります。
仮に夜間取引の頻度が増えるようなら、徐々にそちらのボリュームが増えて、自然とメイン口座が移る可能性もありますね。その辺りは、成り行きに任せるとしましょう。

<夜間取引を始める前の心構え>

わたしの周りには、株式投資好きが多くおりますので、実際に夜間取引についてヒアリングしてみたところ、自分をコントロールするのがむずかしくてやめてしまった人がチラホラいました。先輩の経験談から、夜間取引を始める前の心構えを挙げてみました。

1、こころを休めるためのルールを決めておく
いくら株好きとはいえ、日中も売買をして夜間も売買となると、こころが休まるヒマがありません。また、夜間取引にのめり込みすぎて、家族との時間や、読書や映画などの趣味の時間や、こころの栄養になるための時間が削られるようなことがあってはいけません。あくまでも楽しめる範囲であることが絶対条件です。
また、日中の取引の失敗を取り返そうとして、やっきになって夜間取引するようなことも避けたい状況です。日中のみの取引であれば、一晩の間にクールダウンして、翌日、新たな気分で挑戦することもできますが、モヤモヤした感情のまま夜間取引に突入してしまうと、思うように取引ができないかもしれません。
取引時間が長いというのは、自分が波に乗っているときは有利に働きますが、スランプのときは上手く取引できないことが続き、損失を出してしまいそうです。
もしくは、夜間取引で、ほかの投資家を出し抜いて儲けてやろうといった欲望にまみれてしまうと、おそらくよい結果にはならないでしょう。
そうならないためにも、夜間取引をする日数や条件は事前に決めておきたいものです。

2、睡眠時間を確保する
ついついスマホで取引しながら寝落ちしてしまったり、取引終了後も興奮状態が続いて、眠れなかったりということがあるようです。
わたしは、一定の睡眠時間を確保しないと、日中のパフォーマンスが極端に落ちてしまいます。これはわたしだけではなく、多くの人に当てはまるのではないでしょうか?
睡眠不足の脳の状態は、ほろ酔い気分のときと同じくらいポンコツだと聞いたことがあります。適切な判断ができなかったり、ついつい気持ちが大きくなったり……。正しい判断ができなくて、日中の売買に差し障りが出るのは本末転倒ですよね。
幸い、夜間取引は、16:30から23:59までですので、徹夜する心配はありません。終了ギリギリの時間まで粘るとしたら、事前に眠る準備を整えておいて、すぐベッドに入れるようにしておきたいものです。もしくは、注文だけ出して、あとは見ないといった潔さを持ってもいいのかもしれません。

3、注文は声出し確認する
夜間取引の失敗談で思った以上によく耳にしたのは誤発注です。金額の入力ミスによって、高値掴みをしてしまったとか、売り注文と買い注文を間違えて発注してしまったとか。
自慢ではないですが、わたしは日中の頭がクリアなときでさえ、誤発注してしまう人間です。思考力が鈍る夜間となれば、2回に1回くらいの割合で誤発注しても驚きません。参加者の多い日中であれば、すぐに売買をし直してミスを取り返すことができるかもしれませんが、参加者が少なく、なおかつ指値注文しかできない夜間の誤発注は、大きなダメージとなりかねません。そんな悲劇を起こさないために、注文画面は声を出して確認します。

<日中とはちがう特長を生かした売買スタイル>

まあまあ一筋縄ではいかなさそうな夜間取引ですが、日中とは違うルールをうまく利用できれば、投資家としては確実にステップアップできそうです。

まず流動性が低いということは、おそらく機関投資家といったプロの参加者は少ないと考えられます。日中の取引では「機関投資家に、大量の売りを浴びせられたー!」などといった個人投資家の嘆きがよく聞こえてきますが、こういった力技でねじ伏せられるような心配は無いように思います。個人投資家間の、ある意味のんびりとした売買が主となるのではないでしょうか?

少し話は変わりますが、フリーマーケットで、価値ある骨董品や書物が、びっくりするような安い値段で売られていることがあります。持ち主は案外その価値を分かっていないことがあるのです。
同様に、プロの参入が少ないであろう夜間取引には、そういった価格変動が起こることも期待できるかもしれません。翌営業日の始値が、夜間取引の最後の価格の延長線上にない場合は、機関投資家の考えと乖離していたのかもしれません。
日中の取引では、自分の予想と違う値動きをすると、自分が間違っていると考えますが、夜間取引では、株価が大きく動く要因が考えられない場合は、自分の予想と違う値動きをしても自分は正しいと考えていたほうがラッキーな取引ができそうです。

次に、株価が高く売買代金が高くなってしまう銘柄は、あえて夜間取引で売買するという戦略も考えられます。夜間取引のできる証券会社は、夜間取引の売買手数料を、売買代金に関係なく無料にしたり、条件付きで無料にしているからです。夜間取引では、値嵩株もあまり気にせず売買ができそうです。

最後に、なんといっても夜間取引のうまみが得られそうなのは、決算発表シーズンの売られすぎ銘柄拾いだと思います。決算がよくても誰かが売り注文を出すと、参加者が少ないだけに、弱気ムードが蔓延し、極端に安い株価まで売られる可能性があります。そこをすかさずピックアップ!翌日、まともな株価がついてくれれば、売却して利益を取ることもできますし、そのままキープして利益をより伸ばすことも可能かもしれません。
そのためには、決算の数字を正しく読み取る力量が必要となりますが、それに関しては投資歴12年の自分を信じたい! 

もうすぐ本格的な決算シーズンが始まります。いよいよ夜間取引デビューなるか! わたし自身がとってもワクワクしています。
※あくまでも藤川さん個人の投資手法を説明するための例示および見解であり、ジャパンネクスト証券株式会社が取引を誘引するものではありません。

本記事に掲載されている全ての情報は、2022年8月2日時点の情報に基づきます。

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