本シリーズ「投資スイッチ!」では、何気なく過ごしている毎日の中にも、実は投資先や株取引について考えるヒントがあるはず!という視点のコラムをお届けします。ヒントに気づくための“スイッチ”を一緒に入れてみませんか?
世界が揺れているのに、なぜ株価は上がるのか
2026年2月末に始まった米・イスラエルによるイラン攻撃と、3月2日からのホルムズ海峡の事実上の封鎖。原油価格は一時1バレル当たり117ドル台まで急騰し、その影響は私たちの生活のあちこちに及んでいます。
ナフサ(石油から作られる化学原料)の供給不安は、想像以上に広い範囲に波及しています。カルビーは、ポテトチップスなどの主力商品の一部で包装を白黒に切り替えると発表。ナフサ由来のパッケージ印刷用インクが品薄になっているためです。また、三井不動産レジデンシャルや三菱地所レジデンス、東急不動産、東京建物といった不動産大手各社は、新築マンションの購入者に対し「建築資材の供給不安から引き渡しが遅れる可能性がある」と通知し始めました。断熱材・塗料・水道管など、建材の多くにもナフサ由来の素材が使われているからです。
これほどの混乱が続いているのに、株式市場は……上がっています。日経平均株価は4月27日に終値で初めて6万円台に到達し、その後も上昇を続け、一時は63,000円を超える場面も。「いったい何が起きているの?」と困惑している方も多いのではないでしょうか。
相場は「K字」に割れている
実は、すべての株が上がっているわけではありません。日経平均は4月の1カ月間で16.10%上昇した一方、内需株のウェイトが大きいTOPIXの上昇は6.56%にとどまりました。アルファベットの「K」の字のように、上がる株と上がらない株が真っ二つに分かれる「K字相場」です。
上昇をけん引しているのはAI・半導体関連株です。ソフトバンクグループ傘下のアーム(英国の半導体設計大手)が発表した業績見通しが市場予想を上回り、AIエージェントの普及で高性能CPUへの再評価の動きが広がっています。キオクシアなどのメモリ関連も急騰しました。
一方、エネルギーコストの影響を受けやすい製造業や内需株、原材料調達に不安を抱える企業は重い展開が続いています。同じ日本株でも、置かれている状況は大きく異なるのが今の相場です。
なぜAI・半導体はホルムズ危機に強いのか
AIデータセンターの需要は原油価格とは無関係に拡大しているためです。クラウド各社のAIインフラへの投資は止まらず、むしろ加速しています。IT調査会社ガートナーが4月に公表した半導体市場予測では、2026年の市場規模を前年比63.9%増、2027年もさらに17.7%拡大と予測。過去に繰り返されてきた「シリコンサイクル」(4年ごとの需給サイクル)を超えた”スーパーサイクル"の入り口にいる可能性があると指摘しています。
今から半導体株に乗れるのか
そうはいっても、すでに株価は大きく上がっており、今から飛び乗るのは勇気がいります。わたし自身も現状この波に乗れておらず、歯ぎしりしておりますが、このまま遠目で見ているのは悔しいものです。
10年前、スマートフォンの普及で半導体需要が急拡大した時も、「もう高い」「バブルだ」という声が絶えませんでした。でもそこから長期保有した人は大きな利益を得ています。AIは、スマホ以上のパラダイムシフトを起こす存在だと思っています。実際に、スマホ普及時以上のスピードで利用者が広がっていると肌で感じています。短期的な上下はあっても、5年・10年単位で見れば、AI・半導体の需要が縮小するシナリオは考えにくい。
とはいえ、高値圏での一括投資はやはり怖い。だからこそ有効なのが分散購入です。毎月少しずつ、あるいは相場が下がった時に買い増す「押し目買い」を続けることで、平均取得コストを抑えながら成長テーマに乗っていけます。
個別株より「ETF」でテーマをまるごと買う
AI・半導体関連でもう一つおすすめしたいのが、テーマ型ETFです。
個別の半導体銘柄を選ぶのは、業績・在庫サイクル・顧客構成など調べることが多く、ハードルが高い。でもETFならAI・半導体というテーマ全体に投資できるので、特定銘柄が外れても、テーマの成長を広くとらえることができます。
日本株の半導体関連ETFとして代表的なのが、「グローバルX 半導体関連日本株式ETF」(2644)です。ディスコ、東京エレクトロン、レーザーテックなど日本の半導体関連大手30社以上の銘柄にまとめて投資できます。
米国の半導体企業にも投資したい場合は、NEXT FUNDS S&P500半導体ETF(346A)が選択肢に。エヌビディアを筆頭に、ブロードコム、インテルなど米国の半導体主要企業を幅広くカバーしており、NISAの成長投資枠でも購入できます。
「日本の製造装置・材料メーカー」に賭けるか、「エヌビディアを中心とした米国のAI半導体」に乗るか、あるいは両方組み合わせるか――自分のスタイルに合わせて選べるのがETFの魅力です。
先行き不透明な時代の投資の軸
ホルムズ海峡の封鎖がいつ解消されるか、正常化の見通しは5月11日時点でもまだ立っていません。しかし歴史を振り返ると、原油価格が高騰した局面でも日本株が上昇した時期は多くあります。短期的には連動しても、長期では必ずしも一致しないのです。目の前の原油高に引きずられて長期的な投資判断を誤ることが、最ももったいない選択かもしれません。
霧の中でも、5年・10年先に向かって確実に流れているものはあります。AIの進化、少子化・省人化、防衛強化――こうした不可逆的なテーマに少しずつ資金を向け続けることが、不透明な相場における個人投資家の現実的な戦略だと思います。
※本記事に掲載されている全ての情報は、2026年5月11日時点の情報に基づきます。
※あくまでも藤川さん個人の投資手法を説明するための例示および見解であり、ジャパンネクスト証券株式会社が取引の勧誘をするものではありません。
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