株式

2026.01.23

本シリーズ「投資スイッチ!」では、何気なく過ごしている毎日の中にも、実は投資先や株取引について考えるヒントがあるはず!という視点のコラムをお届けします。ヒントに気づくための“スイッチ”を一緒に入れてみませんか?
藤川 里絵(ふじかわ りえ)さん

藤川 里絵(ふじかわ りえ)さん

キリオフィス代表、株式投資スクール講師、CFPファイナンシャルプランナー。個人投資家として2010年より株式投資をはじめ、5年で資産を10倍に増やす。数字オンチの人も含め普通の人が趣味として楽しめる株式投資を広めるため、講師、講演者、パーソナルトレーナーとして活動中。講座は特に女性に人気で、毎回キャンセル待ちが出るほど。著書に「月収15万円からの株入門 数字オンチのわたしが5年で資産を10倍にした方法」「ド文系女子の株の達人が教える 世界一楽しい!会社四季報の読み方」(https://www.amazon.co.jp/dp/B09PB1FT8H/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1)など。
YouTube:藤川里絵の女子株CH『はじめの一歩』 - YouTube(https://www.youtube.com/channel/UCrsiRmd8Bq7CmaXljd8PDKw

Introduction

昨年、2025年12月17日に『会社四季報』2026年新春号が発売されました。定期購読しているわたしの元には、発売1日前の16日に配達されるわけですが、今回はひときわ、待ち遠しく感じました。 というのも、前号の秋号は海外旅行中だったため十分に読むことができず、四季報熱がいつも以上に高まっていたのです。今回は、年末年始の帰省中にじっくり読み込みたかったため、自宅用のワイド版とは別に、持ち運び用の「通常版」も購入。新幹線の中でひたすら読みふけりました。
四季報との付き合いはもう15年以上になりますが、その向き合い方も年々変化しています。読み始めた当初はまだ「四季報オンライン」が整備されておらず、情報はほぼ紙媒体のみだったため、いかに早く目を通し、人より先にサプライズ銘柄を見つけるかという「スピード」が重要でした。発売日前日に届いた四季報にその日のうちにすべて目を通し、翌日の発売日に書店へ並ぶ人たちより先にサプライズ株を買うことに命をかけていたものです。いわゆる「四季報ナイト」です。
しかし現在は、オンラインである程度先行して情報が解禁されることもあり、以前ほど紙の四季報から未知のサプライズ銘柄を見つける機会は少なくなりました。また、四季報記事による株価への直接的な影響も、以前より限定的になっているように感じます。
そこで最近のわたしは、「スピード勝負」ではなく「深掘り勝負」をしています。具体的には、記事欄にフォーカスして「今すぐ」ではなく「これから」業績に変化が現れそうなお宝銘柄の種を探すのです。記事欄をすべて読むのは、非常に時間がかかります。AIにデータを読み込ませれば瞬時に要約してくれる時代に、このようなアナログなアプローチは非効率に感じるかもしれません。しかし、だからこその優位性があるとわたしは考えています。
人の行く裏に道あり花の山」という相場格言があります。みんなと同じ行動をしていては大きな成功は得られない、あえて人が行かない裏道を行くことで思いがけない成果に辿り着ける、という意味です。この格言を信じて、蛍光ペンと付箋を片手に、今も四季報をめくり続けています。
そうして読破した新春号での、わたしの気づきを共有したいと思います。

絶好調業界のツートップ

まず、全体の月足チャートにサーッと目を通したところ、如実に上昇トレンドを描いている業界が二つありました。

地味な建設株が主役に?上場来高値を更新する理由とは

一つは、1,000番台に多い「建設」です。多くの建設株が数年来の抵抗線を突破し、上場来高値を更新している銘柄も散見されます。地味だと思われがちな建設株がこれほど好調な理由は、主に4つあります。
1.記録的な建設単価の上昇と価格転嫁の浸透
これまでの建設業界は「資材高・人件費高」に苦しんできましたが、ここ1年ほどで状況が一変しました。深刻な人手不足を背景に、ゼネコン側が「利益の出ない仕事は受けない」という選別受注を徹底。その結果、工事請負契約の単価が大幅に上昇し、コスト高を適切に価格転嫁できる体制が整ったことで、利益率が劇的に改善し始めています。
2.AIデータセンターと半導体工場の建設ラッシュ
2025年の市場を賑わせた「AI・半導体」ブームが、建設株の強力な追い風になっています。ラピダス(北海道)やTSMC(熊本)に代表される巨大工場の建設に加え、爆発的に増えるデータセンターは高度な空調・電力設備を伴うため工事単価が非常に高く、収益向上に寄与しています。
3.老朽化インフラの更新と国土強靱化
国内の道路、橋、トンネル、港湾の多くが更新期を迎えています。政府の「国土強靱化実施計画」に基づき、災害対策や老朽化対策への予算が安定的に配分されていることも、追い風となっています。
4.PBR1倍割れ是正と株主還元の強化
建設業界は伝統的に現金を溜め込みやすく、低PBR(株価純資産倍率)に放置されてきました。しかし、東証の改善要請を受け、大手から中堅までが増配や自社株買いを相次いで発表。「超優良資産銘柄」が、金利上昇局面で「高配当・バリュー株」として再評価され、資金が流入しています。

建設株のほとんどが上昇トレンドにあり、逆に下がっている銘柄を探すのが難しいほどです。このように業界全体が底上げされている中から銘柄を選ぶのは、投資の王道と言えるでしょう。

「金利のある世界」が再来!評価が二極化する銀行株

もう一つは、8,000番台に多い「銀行」です。 これは言うまでもなく、日本に「金利のある世界」が戻ってきたことで、利ざやの拡大による業績改善が期待されているためです。企業の設備投資意欲も旺盛で、貸出金利の上昇が直接収益に寄与しています。
ただし、銀行株には明暗があります。預金を集めて国債だけで運用する旧来型のモデルから脱却できていない銀行は冴えませんが、一方で地域企業へ積極的に投資したり、DX化を推進して効率化を図ったりしている銀行は、投資家から高く評価されています。

個人的にイチオシなテーマ

2026年の有望な投資テーマとして注目しているのが「電力関係」です。2025年に電線株が大化けしたため目新しさはありませんが、まだ出遅れている関連銘柄が多くあります。 四季報の記事欄では「蓄電池」という言葉が目につきました。
データセンターをはじめ電力需要は拡大の一途をたどっています。「つくる(発電)」「送る(送電)」だけでなく、「貯める(蓄電)」や「省エネ」に関連する企業には、まだまだチャンスがあるでしょう。
また、「人手不足」も引き続き有力なテーマです。カット野菜専業大手のデリカフーズホールディングス(3392)は、記事欄に「外食向けの需要旺盛」とありました。これは、厨房で野菜をカットする人員を確保できない現場の課題を、同社が解決していることを示しています。
業務用洗剤などを手掛けるニイタカ(4465)の記事欄には、「時短・節水に貢献。作業負担軽減できる洗浄剤が主力製品化」とあります。ニイタカの洗剤は泡切れがよいため、洗い物が早く済むそうです。こんな些細なことにもこだわりたいほど人手不足は深刻なので、それを解決してくれる企業は引き続き有望でしょう。
最後に外せないのが「リユース」です。家電や貴金属、ブランド品の値上げが続く中、新品ではなく中古で調達しようとする層は増え続けています。最近では日本の中古品(ジャパン・クオリティ)は海外でも高く評価されており、コメ兵ホールディングス(2780)のようにグローバル販路を拡充している企業に注目しています。 さらに、高齢化による「実家の片付け」需要も増えており、BuySell Technologies(7685)のような訪問買取が活況です。買取業者は乱立していますが、今後はM&Aによる再編が進むのではないかとにらんでいます。

まとめ

今回の『新春号』を読み終えて確信したのは、2026年は「変化に適応した者だけが報われる年」になるということです。 金利上昇やAI実装という大きな時代の変化の中で、建設や銀行といった伝統的な業界が姿を変え、最高益を更新し始めています。一方で、ニイタカやデリカフーズのような「現場の困りごと」を解決する小さな知恵も、大きな果実へと育とうとしています。
あらゆる情報が瞬時に手に入る今だからこそ、あえて紙をめくり、行間に潜む企業の体温を感じる。この非効率な深掘りこそが、情報の波に飲まれず、「花の山」へと続く裏道を見つける唯一の方法だと信じています。さて、新春号で仕込んだ「種」がどう芽吹くか。新幹線でつけた印を、今度はじっくり腰を据えて分析する作業に入りたいと思います。
※本記事に掲載されている全ての情報は、2026年1月9日時点の情報に基づきます。
※あくまでも藤川さん個人の投資手法を説明するための例示および見解であり、ジャパンネクスト証券株式会社が取引の勧誘をするものではありません。

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