株式

2025.11.25

本シリーズ「投資スイッチ!」では、何気なく過ごしている毎日の中にも、実は投資先や株取引について考えるヒントがあるはず!という視点のコラムをお届けします。ヒントに気づくための“スイッチ”を一緒に入れてみませんか?
藤川 里絵(ふじかわ りえ)さん

藤川 里絵(ふじかわ りえ)さん

キリオフィス代表、株式投資スクール講師、CFPファイナンシャルプランナー。個人投資家として2010年より株式投資をはじめ、5年で資産を10倍に増やす。数字オンチの人も含め普通の人が趣味として楽しめる株式投資を広めるため、講師、講演者、パーソナルトレーナーとして活動中。講座は特に女性に人気で、毎回キャンセル待ちが出るほど。著書に「月収15万円からの株入門 数字オンチのわたしが5年で資産を10倍にした方法」「ド文系女子の株の達人が教える 世界一楽しい!会社四季報の読み方」(https://www.amazon.co.jp/dp/B09PB1FT8H/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1)など。
YouTube:藤川里絵の女子株CH『はじめの一歩』 - YouTube(https://www.youtube.com/channel/UCrsiRmd8Bq7CmaXljd8PDKw

Introduction

2025年も残りわずかとなりました。新NISAの枠が余っている人は、何か買っておこうかとソワソワしているかもしれません。今年は、4月にトランプ関税問題で波乱がありましたが、それを除くと概ね株価は堅調でアメリカ株指数も日本株指数も高値更新しています。下がったらスポット買いしたいと待ち構えていた人の中には、結果的に買いそびれた人もいるかもしれません。

新NISAのしくみをおさらい

2024年からスタートした新NISAは、1年間で、つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円=合計360万円の非課税投資枠があります。
つみたて投資枠は、その名のとおり積立型で金融庁が定めた投資商品の中から選び、毎月決まった金額を積み立てます。毎月10万円積み立てれば年間120万円すべて使い切ることができます。
成長投資枠は、投資信託のほか、日本株、米株、ETFなど幅広い商品が投資対象で、どのタイミングで購入してもかまいません。つみたて投資枠で積み立てしている商品と同じものを、成長投資枠で毎月買い付けることも可能です。
未使用分の翌年繰越はできませんが、生涯投資枠(最大1,800万円)内で非課税投資が続けられます。売却すると、その売却時の取得価格分の枠が翌年以降に再利用できる「枠の復活」機能があります。

年末駆け込みはするべき?

制度を理解した上で「年末に駆け込みで使い切るべきか?」「どう計画すべきか?」を考えます。
そもそも枠は使い切らなきゃいけないものではありません。旧制度時代(例えば、旧一般NISA等)では2023年度中に使わないと枠が消滅してしまうため、年末駆け込みが盛んでした。しかし、新NISAでは、年間枠を使い切らなかったとしても、翌年にその分が減るわけではありません。枠を消化するために、無理な投資をするのではなく、自分に合ったリスク・商品選び・資金の余裕という観点を踏まえて「年末駆け込み」を考えましょう。  

年末駆け込みの具体的な3ステップ

ステップ1:現在の状況確認

まずは、2025年の新NISA枠の状況を整理します。どれだけ枠を使って、どれだけ残っているかの確認です。課税口座や旧NISA口座を利用している人は、それも合わせて現状確認することをおすすめします。
次に、自分の余裕資金(投資可能な金額)とリスク許容度を再確認します。余裕資金が手元にない場合は、無理に枠を埋めようとしないことです。

ステップ2:目標設計と配分決定

つみたて投資枠、成長投資枠、どちらも年間の枠が余っていたとして、手元の余裕資金が両方の枠の満額を埋めるには足りない場合、それぞれにどれくらい使うのか配分を決めます。例えば、安定的に積立運用したいならつみたて投資枠重視、リスク・リターンを狙いたいなら成長枠を活用するといった感じです。
どちらの枠にいくら使うかを決めたら、具体的な商品を検討します。つみたて投資枠の場合は、あらたな商品を追加するより、現状積み立てているものの補足が適しています。
成長枠を使う場合は、長期保有を前提とできる高配当株がおすすめですが、銘柄選びに自信がない場合は、ETFを利用するのも手です。ETFは、指数に連動するものをはじめ、高配当株、半導体株、インフラ株などテーマで分けられたものもあります。
商品を決めたら年末までのスケジュールを決めます。例えば「12月中旬までの積立設定を完了」「12月末までに◯万円を一括投資」など。
また、課税口座で保有している投資信託や、個別株で長期保有前提のものがあれば、いったんそれを売却して、新NISA口座で買い直すという手もあります。利益が出ている場合は、売却時に課税されますが、その後、NISA口座で買い直してからの利益は非課税になります。また、課税口座で損失が出ていれば、損益通算によって節税が可能なので、タイミングを見て、上手に“お引越し”しましょう。

ステップ3:買付実行

設定した配分に従い、実際に購入or積立予約を進めます。
証券会社によっては、つみたて投資枠をピッタリ使い切る設定ができるところもあります。例えば楽天証券なら、使い切り設定をする銘柄と金額を設定すれば自動的にピッタリの金額で積み立てが完了します。ただし、設定期間は11月23日から12月17日までと限定されていますので早めに確認しておきましょう。
成長投資枠をピッタリ使い切りたい場合は、単元未満株を利用するのも手です。ただし、単元未満株の場合は、指値注文ができない場合がほとんどなので、その点は注意が必要です。

年末駆け込みをスマートに行うための注意点

「枠を全部使わないと損」という考えは危険です。重ねて言いますが、投資額が大きくなればそれだけリスクも高まります。あくまでも余裕資金の範囲内で行いましょう。
手続きの期限・受渡日のタイミングなど、NISA口座を開設している証券会社で早めに確認しておくこと。年末ギリギリではなく、12月中頃までに買付を行うことをおすすめします。
最後に、投資におけるとても大事なことをお話しします。
投資信託にしろ株式にしろ、投資で利益を稼ぐには、安い時に買うのが基本です。2025年は、あらゆるリスク資産が大きく上昇しているため、年末の駆け込み買いは、もしかしたら高値買いになってしまうかもしれません。本来なら、そのリスクを避けるために時間を分散するのが有効です。
2026年は、年末に焦って駆け込み投資をしなくていいように、年初から年間の買付スケジュールや、ルールを決めておくといいですね。
※本記事に掲載されている全ての情報は、2025年11月14日時点の情報に基づきます。
※あくまでも藤川さん個人の投資手法を説明するための例示および見解であり、ジャパンネクスト証券株式会社が取引の勧誘をするものではありません。

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