本シリーズ「投資スイッチ!」では、何気なく過ごしている毎日の中にも、実は投資先や株取引について考えるヒントがあるはず!という視点のコラムをお届けします。ヒントに気づくための“スイッチ”を一緒に入れてみませんか?
秋は、空気が澄み、スポーツを楽しむのに最適な季節です。全国各地でマラソン大会が開催され、プロ野球はクライマックスシリーズや日本シリーズで盛り上がり、サッカーやラグビーも佳境を迎えます。さらに、紅葉シーズンを楽しむアウトドアや登山など、体を動かすイベントが目白押し。もちろん、今年ならではの大イベント、9月13日~21日に東京で開催される「世界陸上」もまちがいなくわたしたちのスポーツ熱を高めてくれるでしょう。
この「スポーツの秋」の熱気は、選手や観客だけでなく、企業の売上や株価にも波及していきます。ここでは、そんな秋のスポーツシーズンを背景に、投資テーマとして注目できる企業を取り上げてみましょう。
まず注目したいのが、秋のマラソン大会シーズンに強いスポーツ用品メーカーです。ランニングシューズのトップブランドとして知られるアシックス(7936)は、国内外でのマラソン大会需要を背景に、この時期に新モデルを投入することが多く、店舗やECでの売上が伸びやすい傾向にあります。特に世界陸上などの大型イベントが近づくと、ランニング愛好者の購買意欲が高まり、シューズやウェアの需要が一段と増します。
余談ですが、アシックスは、個人投資家に向けてのIRにも非常に力を入れており、全国各地でファンミーティングを行っています。時価総額が2兆円を超える大企業にもかかわらず、個人投資家を大事にする姿勢はとても好感が持てます。
同じくミズノ(8022)も、野球や陸上、ゴルフなど幅広い競技に強みを持ち、秋は多くのスポーツシーンで存在感を発揮します。プロ野球のポストシーズンでは公式球具やユニフォームが露出機会を増やし、ブランド価値を高めます。また、学校や地域クラブへの納品も秋口にピークを迎えるため、短期的な業績押し上げにつながる時期です。
スポーツ観戦は現地だけでなく、自宅で楽しむスタイルも定着しています。プロ野球のクライマックスシリーズや日本シリーズ、Jリーグの終盤戦といったイベントは、家飲み需要を後押しします。アサヒグループHD(2502)は、ヒット商品「スーパードライ生ジョッキ缶」が観戦シーンにぴったりはまり、売上を底上げ。キリンHD(2503)もチューハイやクラフトビールなど商品ラインナップの幅広さで勝負し、イベント時期の販促を強化しています。短期的には、イベント前後の販売データやキャンペーン展開が株価を動かす材料になりやすいでしょう。
また、スポーツイベントに欠かせないのが水分補給です。大塚HD(4578)のポカリスエットやオロナミンCは、夏場の熱中症対策需要だけでなく、秋のマラソンや屋外スポーツでも安定して売れます。大会スポンサーシップや広告露出が増えるタイミングは、投資家にとっても注目ポイントです。
飲料ではないですが、スポーツやアウトドアの補助食として需要を伸ばしているのが、井村屋グループ(2209)のスポーツようかんです。手を汚さずに手軽に食べられる工夫がされており、わたしもゴルフでラウンドするときに重宝しています。
スポーツの秋は、アウトドアにも最適な季節です。キャンプや登山、紅葉狩りといったアクティビティ需要が高まります。アウトドアブランドとしていちばん人気の「ザ・ノース・フェース」を運営するゴールドウイン(8111)は、キャンプブームの勢いこそ一服感がありますが、秋のイベントや新商品投入で販売を盛り上げる戦略を続けています。特にシーズン限定商品やコラボ企画は話題になりやすく、株価が短期的に動くきっかけにもなります。ちなみに「ザ・ノース・フェース」は訪日客にも人気があり、秋冬にはブランドマークのついたダウンジャケットを着ている人をよく見かけます。
小売分野ではアルペン(3028)も注目です。スポーツ用品からアウトドアグッズまで幅広い品ぞろえで、秋の行楽シーズンに合わせた販売が堅調に推移しやすい時期。最近は自社ECサイトを全面刷新し、販売チャネルの拡張にも注力しています。
スポーツ観戦の熱気は、放送や配信を通じても広がります。スカパーJSAT(9412)は国内外のサッカー、野球、モータースポーツなどの放映権を保有し、秋のスポーツコンテンツが豊富。視聴契約数や配信利用者数の増加が短期的な株価材料になります。最近は、宇宙関連銘柄としても投資家から熱い視線を向けられており、株価は上場来高値を更新中。
インターネット配信ではサイバーエージェント(4751)が運営するAbemaTVが存在感を増しています。格闘技やサッカーなどスポーツ配信を積極展開しており、秋は視聴者数増加が広告収入や有料契約の拡大に直結しやすいタイミングです。特に年末の大型イベントに向けた布石としても注視されます。
スポーツの秋は、実際に運動をする人だけでなく、健康意識の高まりにもつながります。明治HD(2269)の「ザバス」や森永製菓(2201)の「inゼリー」は、マラソンやジム通いの愛好者に広く浸透。そういえば、どちらもいつのまにかコンビニでの存在感が増しています。運動を効果的に行うための栄養摂取が当たり前になりつつあり、求められる商品にも変化を感じます。
こうした「スポーツの秋」関連銘柄を短期的に狙う際は、いくつかのポイントがあります。
第一に、イベント前後の需要増を意識すること。例えば、マラソン大会の2~3週間前からランニング用品やスポーツドリンクの売上が伸び始めます。
第二に、ニュースフローの速さ。新商品発表やスポンサー契約、観客動員数の速報は株価反応が早く出やすい傾向にあります。
第三に、季節限定商戦。秋限定モデルやキャンペーン商品は販売予測が上振れしやすく、好業績期待につながります。
スポーツの秋は、選手やファンだけでなく、関連企業にとってもビジネスチャンスが広がる季節です。ランニングシューズやアウトドア用品、飲料や栄養補助食品、放映権ビジネスまで、幅広い分野で短期的な需要増が見込めます。イベントスケジュールと株価の動きを照らし合わせることで、短期テーマ株投資の妙味を味わえる時期とも言えます。
市場が秋のスポーツ熱で温まる今、関連銘柄をチェックしてみる価値は十分にあるでしょう。
※本記事に掲載されている全ての情報は、2025年8月13日時点の情報に基づきます。
※あくまでも藤川さん個人の投資手法を説明するための例示および見解であり、ジャパンネクスト証券株式会社が取引の勧誘をするものではありません。
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