株式

2025.01.27

読み始めたら止まらない!四季報を雑学本として楽しむ方法【投資スイッチ! #27】

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本シリーズ「投資スイッチ!」では、何気なく過ごしている毎日の中にも、実は投資先や株取引について考えるヒントがあるはず!という視点のコラムをお届けします。ヒントに気づくための“スイッチ”を一緒に入れてみませんか?
藤川 里絵(ふじかわ りえ)さん

藤川 里絵(ふじかわ りえ)さん

キリオフィス代表、株式投資スクール講師、CFPファイナンシャルプランナー。個人投資家として2010年より株式投資をはじめ、5年で資産を10倍に増やす。数字オンチの人も含め普通の人が趣味として楽しめる株式投資を広めるため、講師、講演者、パーソナルトレーナーとして活動中。講座は特に女性に人気で、毎回キャンセル待ちが出るほど。著書に「月収15万円からの株入門 数字オンチのわたしが5年で資産を10倍にした方法」「ド文系女子の株の達人が教える 世界一楽しい!会社四季報の読み方」(https://www.amazon.co.jp/dp/B09PB1FT8H/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1)など。
YouTube:藤川里絵の女子株CH『はじめの一歩』 - YouTube(https://www.youtube.com/channel/UCrsiRmd8Bq7CmaXljd8PDKw

Introduction

昨年12月18日に会社四季報新春号が発売されました。四季報は、上場企業すべての業績や動向を収録した、投資家にとっての必読書です。四季報の中身については、「細かい、難しい、数字ばかり」といったイメージをお持ちの方が多いようです。たしかに、一見株のデータ集のように思えますが、読んでみると思わず声をあげて笑ってしまうような文章もあり、実は雑学の宝庫でもあります。
四季報を手に取る目的は、たいていの人にとって、上がる株を見つけるためでしょう。もちろんわたしもそうですが、今回はいったんその目的は置いておいて、雑学のネタを見つけるために四季報を読む、に替えてもらいたいのです。
なぜなら、上がる株を見つけることを目的にしてしまうと、四季報を開いても上がる株を見つけられなかったら、今後読み続けるモチベーションは低下してしまいます。雑学のネタならいくらでも見つかりますので、飽きることなく読み続けられます。また、飲み会で披露できる話題や、日常での気づきが増えるかもしれません。『この会社、こんなことしてるんだ!』という驚きや発見がいっぱい詰まっています。
そして、読み続けているうちに、なんとなくこれは上がるんじゃないか、有望なのではないか、といった”勘”が働くようになります。”勘”というよりは、”目利き”といったほうが良いかもしれません。魚屋さんでも八百屋さんでも、たくさんの商品を見るから、自然とその良し悪しが判断できるようになります。株も同じで、企業について書かれた文章をたくさん読むことで、良い企業、悪い企業が自然とわかるようになるのです。

わたしが四季報を「ただ読む」理由

じつは、わたしが、この”四季報をただただ読む”の境地に辿り着いたのは、ここ数年のことです。四季報ラバー歴は15年近くになりますが、最初は上がる株を見つけるために四季報を見ていました。そうです。読んでいたというより、見ていたという表現がハマります。業績欄で売上、利益の伸びを確認し、PERで割安さをチェックし、月足チャートでトレンドを見るといった風に、チェック事項をこなしていく感じです。もちろん、その手法は今でも通じますし、投資対象として検討する際はかならず行うルーティンです。
また、なるべく有望な銘柄を早く見つけたいという欲求から編み出した「月足ぴょこ投資法(※)」は、今でも毎号おこなっております。
※「月足ぴょこ投資法」については、以前に紹介記事があるのでこちらを参照ください。
それらを行いつつも、新しく四季報が届いてからの数週間、ひたすら”読む”に徹するようになったのは、四季報からお宝銘柄を発掘するのに、スピード勝負では好成績を上げづらくなったためです。
以前は、紙の四季報だけでしたので、発売日からよーいどんで投資家は一斉にお宝銘柄探しをすることになります。今は、四季報オンラインで事前に予想の更新が行われていたり、発売日の2週間ほど前から、四季報サプライズ速報として、次号で業績が増額される銘柄を発表しているので、紙の四季報が発売されてからのスタートだと出遅れているのです。
それならなおさら、記事欄をのんびり読んでいたのでは、お宝銘柄を見つけられないのではないかと不安に思うかもしれませんが、案外記事欄には、まだ業績にはあらわれていない、お宝のタネが埋まっていることが多いのです。たくさん読んでいるうちに、そのタネに出会えればラッキー。出会わなくても、知らず知らずに詰め込まれた日本企業の雑学は、あなた自身の知性を高めてくれます。

四季報新春号から見つけた雑学ネタをご紹介

前置きが長くなりました。ここからは、四季報新春号でわたしがチェックした、雑学のネタをできるだけたくさん紹介します。難しいことなんて考えずに、ただただ読んで「へぇ〜」って面白がれば良いだけ。まずはそこから四季報デビューしてください。
194A WOLVES HAND
動物病院を関西、関東、九州・沖縄エリアで展開。天然酵母使用のペット用サプリメント開発を推進。
→ペットもサプリを飲む時代!
195A ライスカレー
インスタ、TikTokデータ分析によるマーケティング支援。
→会社名だけで人に言いたくなりますね。
2201 森永製菓
数量鈍化の『inゼリー』は受験期にブドウ糖訴求する販促強化。
→わが家にも受験生がいるので気になります!
2216 カンロ
人気急騰で休売になった『じゅるるシャインマスカット』は25年3月再販へ。
→おー、待ち遠しいです!
2226 湖池屋
日本初の量産化に成功したポテトチップスなど菓子中堅。
→カルビーじゃないんですね。
2269 明治ホールディングス
【コロナワクチン】24年12月以降、国内生産品を出荷予定。
→明治でワクチン作ってるとは!
2540 養命酒製造
健康意識が後退し、好採算の養命酒が数量漸減。
→健康意識が後退してるとは知りませんでした。
2742 ハローズ
広島・岡山地盤の食品スーパー。24時間営業。
競合の営業時間短縮が集客に追い風。
→たしかに最近はコンビニも24時間じゃないところがありますもんね。
2753 あみやき亭
東海地盤の焼肉チェーン。
仕入れコスト低減や希少部位メニューの提供へ、和牛の一頭買いを強化。
→ダイナミック!
2816 ダイショー
焼き肉のたれや塩こしょう、鍋スープの国内大手。
ビーガン向けに続き、ハラル認証商品の開発検討。
→インバウンド需要もあるんでしょうね。
2818 ピエトロ
野菜用ドレッシングが収益柱。
【ビーガン】直営レストランの一部で動物性原料を使用しないメニューの提供開始。
→ビーガンニーズが拡大しているようです。
281A インフォメティス
電力フロー可視化アプリ『エネノワ』展開。
電力センサー向けアプリも着実増。次世代スマートメーターのデータ活用で自社技術に優位性。置換進めばアプリ展開など追い風。
→2024年12月上場銘柄ですが、これはまさにお宝のタネになりそうな予感。数字だけでは見えない企業の可能性を感じます。
2820 やまみ
豆腐および関連製品の製造・販売で中堅。
消費者の節約志向が強い中、原材料費上昇でも今期は価格据え置き方針。同業他社もコスト高で苦しむ中、シェア拡大を狙う。
→2742ハローズ同様、同業他社がくじけていく中で、ふんばる企業にお宝銘柄の兆しを感じます。
2830 アヲハタ
家庭用ジャムシェア約3割。
米の高騰によるパン消費増もあり堅調。
→なるほど!
2908 フジッコ
昆布、煮豆の総菜食品で首位。
生昆布ペーストの新商品『MUGEN‐KOMBU』3種発売。料理につけて楽しむ調味料として訴求
→ネーミング!
2917 大森屋
加工のり唯一の上場企業。
家庭用は味付のりがゲームセンター等へ販売先拡大。
→まさかの、ゲーセンで味付けのり!? ゲーセンはインバウンド効果もあって業績好調なので、その恩恵を受けるかもしれません。
2919 マルタイ
九州地盤の即席麺メーカー。
カップ麺は消費者の低価格志向受け順調。
→少しずつ、またデフレに戻るかもしれないという記事が目立ちます。
2922 なとり
イカ、サラミ、チーズなどの多品種のおつまみを提供する国内最大手の総合おつまみメーカー。
酒のおつまみにもおやつにも適した『味付けいか耳チップ』などが好調。
→いか耳チップ? 気になります。
2923 サトウ食品
包装餅、包装米飯の国内トップメーカー。
米飯や餅が運動時摂取に適した食材の認知広げるためマラソンやゴルフイベント協賛
→ゴルフしながらお餅はどうでしょう……。

知的好奇心を刺激する雑学ネタを見つけてみて

どうでしょう? いちいち「へえ~」の声が出ませんか? 誰かに話したくなりますよね?
ここに挙げたのは、2,000番台までの銘柄なので、全体からみると30%にも達していません。まだまだたくさんの雑学ネタがこの1冊に詰まっています。
また、繰り返し出てくる「節約志向」や「ビーガン」などは、投資テーマとして深掘りしてもおもしろいでしょう。同様のキーワードが出てくる企業を探したり、市場環境を調べてみると、知識が数珠繋ぎで続いて、大きな投資ヒントに出会えることがあります。
四季報は、一度読むとその奥深さに気づきます。次の週末にでも、気軽に本屋さんで手に取ってみてください。新たな発見が、あなたの知的好奇心を刺激してくれるはずです。
※本記事に掲載されている全ての情報は、2024年1月16日時点の情報に基づきます。
※あくまでも藤川さん個人の投資手法を説明するための例示および見解であり、ジャパンネクスト証券株式会社が取引の勧誘をするものではありません。
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